【銀魂】Don't look at me!!【沖田総悟】

脅迫文句 ページ38

「…ってことは、沖田さんも仕事？」

「んなとこでィ」

「沖田さん、仕事できたんだ……」



私の驚愕を含んだ視線と沖田さんの白けた視線が絡まった。だって現在進行形でサボリをカマしている人の口から仕事をするという意の言葉が聞こえたのである。それこそ天変地異だ。




「万事屋には仕事が来るし沖田さんは働くし、そろそろお江戸もおしまいかもしれない」


「まずてめーから終わらせてやろーか」


「断固拒否」




警察だというのにすぐに脅迫文句が出てくるからこの人はいけない。

両手で自身をガードする仕草を見せる私を、つーかんなことより仕事できたのかってのはこっちの台詞でィ、なんて彼は疑るような目でこちらを見つめた。




「その人見知りでもなんとかなるような仕事があんのかィこの世の中にゃ」


「……な、内職とか」


「万事屋だけには頼みたくねェ」




今回はどんな依頼なのかと沖田さん。少しの好奇心からきているその疑問だろうけど――何気ないそれに、私は大きなため息を吐いた。




「…………短期使用人」


「……使用人？」


「なんか金持ちの人の家で使用人が急に沢山やめたらしくて、次が見つかるまで万事屋でやってくれって」




さすが金持ちというか、報酬もかなりのものらしいと天パがほくほくしながら言っていた。………しかし、私は手放しに喜ぶこともできなくて。

……それというのも。



「……お前ェ、それできねーだろィ」



――そこである。沖田さんの言う通り私にできる気がしないのだ。

使用人といえば、そりゃ接客業なんかよりはマシだけれど少なくとも家主との交流は避けられないだろうし。………果たして私は生きて帰れるだろうかという不安が今頭の中の大部分を占めている。



でもここで沖田さん相手にそれを認めるのも癪なので、たっぷり間を空け「できる」なんて返した。けれど彼の訝しむような視線は止まない。




「使用人が辞めたっつってもせいぜい数人、金持ちならあと何人いるかわかんねーぜ。死ぬぞ」


「………金持ちってそんななの？」


「大方はそうだろーな」




サァと顔が青くなっていくのを感じる。大勢の使用人の中に放り込まれて、万事屋4人で分担制なんてなったら完全にアウェーだ。知らない人に囲まれて知らない人と知らない人のために仕事―――。





「……沖田さん、どうしよう」


「深刻そうな顔しちまってどーした」


「私死ぬかもしれない」




沖田さんの憐れむような視線が向いた。

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