引きこもり願望 ページ31
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「――引きこもりたい」
――午前10時、万事屋。押入れから持ち出したマイ枕に顔を埋めつつ呟いたのは私であった。……それというのも、本日はとある予定があるからで。
…………先日の事件のことは覚えているだろうか。それにまつわる借り貸し云々も。――二週間と置かずにその日がやってきてしまったというわけ。
「…引きこもりたい」
再びそう呟くけど、事態改善の兆しがみえるわけもなく。天啓の代わりに得たのは天パの視線だった。いらない。
寝起きで半開きの目をしばたかせる天パは「とうとうそっち路線確定か」なんてあくび混じりに言っており。
「引きこもるのは私の中の最悪の手段だけどそれより悪いことが起きた」
「あ?……そういや今日飯いらねーんだったかお前。なんかあんの?」
「…人目に晒されてくる」
「はァ?」
どういうことだよ、と。そんなものはこちらが聞きたい。
私は大きな溜息とともに口を開いた。
「………色々あって嫌がらせをされることになった」
「…ドS皇子か」
「たぶんそれ」
漸く覚醒したらしき天パは、覚醒したというのにきちんと開いていない目をむくれ顔の私に固定する。そして嫌なものを見るような顔をしたかと思うと。
「この間は送ってきてもらって今度はデートかよ。いつの間にそんな関係になっちゃってんの?お前ら。何?銀さんへのあてつけ?」
「誤解するな天パ。沖田さんは純然たる嫌がらせを目論んで私を誘っただけ。他意はないから、悪意しかないから」
「だから奴にとっちゃ悪意も好意に等しいだろ。ドSなめんなよ」
「おっさんの勘繰りほどサムいものってない」
「誰がおっさんだまだピチピチのお兄さんだわ追い出すぞ」
ピチピチというよりはダラダラだ。天パも沖田さんもチームドSは燃やしてしまいたい。
彼はランデブーだなんだとふざけた言い回しをしてはいたけど、実態は私の人見知り具合を楽しむための嫌がらせツアーだろうし。
刻一刻と時を刻む置時計へ目を向ければ、そろそろ出かけねばならない時間だった。…このままドタキャンしてしまおうか、でもそうしたら後が怖すぎるし。
…結局何の解決策も見いだせなかった私は、おとなしく待ち合わせ場所へと向かうため重い腰を上げたのだった。
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中村(平日低浮上)(プロフ) - 皆様コメントありがとうございます!!お陰様で一巻完結とさせていただきましたー!次は多少進展する、はず、です!よろしければ続編もお付き合いください(´∀`*) (2016年11月27日 1時) (レス) id: c9af2bf87c (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル(プロフ) - 1巻完結おめでとうございます!! 続編お待ちしていますッ><// (2016年11月27日 1時) (レス) id: ee46f2da27 (このIDを非表示/違反報告)
アルハ(プロフ) - 中村さんの作品、どれも楽しく読ませて頂いています!!この作品ももう神作品・・・!!!これからも応援しています!続編待ってます! (2016年11月27日 0時) (レス) id: 5e4beefb64 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(仮)(プロフ) - わあああああ!中村さんの作品はどれも面白いですね…!!私も中村さんのようになれるよう頑張ります( ˘ω˘ )小説もテストも、応援してます!\( 'ω')/ (2016年11月21日 15時) (レス) id: ad846d9b2e (このIDを非表示/違反報告)
朋花 - はじめまして!こちらの小説読ませていただいています。とても面白くて、更新されるのを心待ちにしてます。期末テスト、頑張ってください!応援してます! (2016年11月20日 16時) (レス) id: 9203abc5a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時:2016年11月13日 0時