【銀魂】Don't look at me!!【沖田総悟】

やっぱり嫌い ページ24

「――で」



――公園にて雨に降られ始めてから、数十分。現在私は沖田さんに連れられてコンビニの目の前にいるところなんだけど。




「………どうして一本？」


「てめーに買ったら万事屋に貢ぐようなもんだろーが。御免こうむる」




……どうしてか買い物を終えたそいつの手には傘が一本握られているきりだった。――いや、おかしいとは思ったけれど！

そもそも私の“傘買って”なんて言葉に反論がぶつけられなかったところからおかしい。ただただ仏頂面のままコンビニの方へ足を向けた時点でおかしい。沖田さんが無償で人に何か買うようなキャラなわけがなかった。



続々とコンビニから出てくるお客たちとは目を合わせぬよう、沖田さんの瞳のみを見上げる。視界の端では、ここへ来た時はまだまだ弱々しかった雨足がそれなりのザンザン降りへと化してしまっているのが見受けられ。




「…コレ、ふたりで使うの？」




頬を引きつらせて言った。傘を貸してくれるならそれはありがたいけど、相合傘はまたそれで……アレだ。

しかしそんな私の顔を見て、沖田さんは「何言ってんだてめー」と。




「俺がひとりで使う」
「待って何言ってるの」


「誰も傘を買ってやるとは言ってねェ。貸してやるとも言ってねェ」


「………………沖田」




最早さん付けなんてしていられない。だってなに、じゃぁつまり私をここに連れてきたのはわざわざ骨折り損をさせるためだった、と？




「ころす」


「過激なこって」


「できる限り悪逆非道な手でころす。雨の日に傘買ってあげるふりして期待させて放置してころす」


「てめーじゃねーか」




ドSの習性くらい理解してから物頼むこったな、とかなんとか言いつつビニール傘を開いた沖田さん。そのまま一歩、屋根の下から踏み出し。




「――イイ面してやがんぜ」


「死ぬほど嬉しくない」




沖田さんを嫌いじゃないとか言ったバカは誰だ。私だ。訂正するけど嫌いである、今この瞬間嫌いになった。とても。

これでもかというほど眉間に皺を寄せながら、ゆっくり歩を進める沖田さんの背中を睨みつける。――すると、そいつは数歩進んだあたりで足を止め。






「………と、まァいいもん見れたこったしからかうのはここまでにして」


「……は…？」


「旦那からあとでいびられたら面倒臭せーんでな。さっさと入りやがれ」




来ないのかとでも言うかのように、私の方を見つめながらビニール傘をふるふると振った。

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