志望しません ページ20
「……サボリ場所?」
どうしてそんなことを、と言うように言葉を繰り返した沖田さん。なんとなく聞きましたという風を醸して答えを待てば、「なんとなく」と。
「なんとなく?」
「それなりに気に入った場所を適当に選んでサボってらァ」
「……ほう」
――じゃぁつまりアレなのか。私と同じってことか。
やっぱりまた何の因果か通ずるところを発見してしまい、例の“嫌”な気分を味わった。それじゃぁ回避しようもない。なんということだ。
ダメ元で「ちなみに仕事しないの、おまわりでしょ」なんて尋ねてみると「最近のおまわりは省エネが流行ってんでィ」とかなんとかわけのわからないことを言い出すし。一番省エネしちゃいけない職業じゃないのか。
憂鬱にため息を吐いた私の方へは沖田さんの視線が向けられる。何か言いたいことがあるなら言えばいいのにとの思いを込めてそれに目を合わせると。
「逆に聞くが、てめーはどうして外出してんだ」
「どういう意味ソレ」
「見るからに引きこもりだろィ」
「討つ」
「武将かお前ェは」
一応言っておくと武将ではない。引きこもりでもない。
少々の不機嫌から浮かんでくるむっとした表情はそのままに、私は口を開き。
「……ソレを避けるため」
「指示語の中身を明記しやがれ」
「引きこもりにならないようにするため」
言えば沖田さんは一瞬驚いたような色を見せた。眉根を寄せつつ「どうして驚いてんの」と尋ねる。
彼はすぐに元の何を考えているんだかわからない表情へと顔を戻しながら。
「すすんで引きこもりになりたそうな奴から予想外の言葉が出てきたもんだから驚いてる」
…………思わず睨みを向けてしまったのは仕方ないだろう。とてつもない侮辱である。失礼千万である。
「引きこもりは、拒否!」
「人見知り極めてんのに外出好きとか訳わかんねーぜ」
「外出好きじゃないけど引きこもりは嫌なの」
天パのようになりそうで、と付け足すと今度はそいつも納得のいったような顔となった。あのダメさ加減は誰にでも通じてくれるらしい。
そんなわけで引きこもり志望じゃないからと再び主張する私の方へ、沖田さんはなんだか何か閃いたように声を発した。
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中村(平日低浮上)(プロフ) - 皆様コメントありがとうございます!!お陰様で一巻完結とさせていただきましたー!次は多少進展する、はず、です!よろしければ続編もお付き合いください(´∀`*) (2016年11月27日 1時) (レス) id: c9af2bf87c (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル(プロフ) - 1巻完結おめでとうございます!! 続編お待ちしていますッ><// (2016年11月27日 1時) (レス) id: ee46f2da27 (このIDを非表示/違反報告)
アルハ(プロフ) - 中村さんの作品、どれも楽しく読ませて頂いています!!この作品ももう神作品・・・!!!これからも応援しています!続編待ってます! (2016年11月27日 0時) (レス) id: 5e4beefb64 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(仮)(プロフ) - わあああああ!中村さんの作品はどれも面白いですね…!!私も中村さんのようになれるよう頑張ります( ˘ω˘ )小説もテストも、応援してます!\( 'ω')/ (2016年11月21日 15時) (レス) id: ad846d9b2e (このIDを非表示/違反報告)
朋花 - はじめまして!こちらの小説読ませていただいています。とても面白くて、更新されるのを心待ちにしてます。期末テスト、頑張ってください!応援してます! (2016年11月20日 16時) (レス) id: 9203abc5a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時:2016年11月13日 0時