愉快な仲間たち ページ7
――背後で響いた、どうにも聞き覚えのある声。思わず後ろを振り返ってみれば。
「Aー!」
……こちらへ向かって投げられる、あたしの名。もうわかってはいたけれど一応その主を確認すると予想通りそこにはチャイナ娘と愉快な仲間たちが寒そうに佇んでいて。
「どうかしたか?」
後ろを振り向いて固まったあたしに土方さんからの怪訝な視線が向いた。苦笑いで彼らの方を指差すと彼の顔はわかりやすく歪む。
「…………退却するぞ」
「戦ですかコレは。…それに、ここで逃げたら万事屋の旦那がまた後々面倒な絡みを繰り出してくるんじゃ?」
「奴らは面倒しか生まねェのか」
先程までとは違い既に疲れ果てた様子を見せる土方さん。私も少しだけ笑った。否定はしないでおく。
歩みを止め万事屋一行へ視線をやればチャイナ娘がこちらへとんできて。
「お年玉!」
「まずは新年のあいさつでしょうが」
「堅苦しいアルナ」
明けましてオメデトウお年玉頂戴ヨ、とそんな早口が向けられた。お年玉なんて単語を耳にするのはいつぶりだろうか、懐かしさが湧いてくる。
「んなもんあのアホにたかりゃいいだろ」「バカアルカマヨ、銀ちゃんがんなもんくれるわけないダロ。お前の玉もぐぞ」と冷めた目で言い合うふたりの間に割って入った。
「札じゃなくてほんとに玉でいいならあげるからチャイナ娘はそういうことを言わない!境内なんだから最低限の品を弁えること!」
「マジでか!流石ネ太っ腹!」
目をキラキラさせる彼女へいつかのように500円玉を手渡していると、さらにそこへ加わる影があり。
「――あ、すみませんAさん。神楽ちゃんが」
「なに神楽お前税金泥棒から金もらったのかよ、銀さんと山分けしよーぜ」
「……眼鏡くんは気にしないで。旦那は鐘でも突いて煩悩落としてきてください」
言うまでもなく万事屋の残り二人である。いや眼鏡君はいいんだけども銀髪天パの方はダメだ。主に土方さんの機嫌的な問題で。
「万事屋も初詣?」
いくらなんでも元日の神社で騒ぎ起こすのはまずい。なんとか何事もなくこの場を切り抜けようと眼鏡君の方へ話を振る。
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ユイ - 完結おめでとうございます。不器用なりにも優しさを見せてくれる土方さんにキュンキュンされっぱなしでした、最高です! (2019年10月19日 10時) (レス) id: 7837a845b7 (このIDを非表示/違反報告)
麗桜 - 完結おめでとうございます。とーってもおもしろかったです! (2019年8月10日 18時) (レス) id: a12faa1c0b (このIDを非表示/違反報告)
鳥雫(プロフ) - 良かったですよおおおおおおおお!!!ミツバさんを入れつつ夢主とも恋愛させる、ってのが本当良かったです!!これからも応援してます!! (2018年1月15日 1時) (レス) id: 40fe2f910d (このIDを非表示/違反報告)
ありす - 完結おめでとう!面白かったです! (2017年1月29日 15時) (レス) id: f707c0d1ab (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - 完結おめでとうございます!いつも楽しく読んでもらってました!新作頑張ってください(*^◯^*) (2016年11月13日 12時) (レス) id: 6c50a9e769 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時:2016年11月5日 23時