そういうもの ページ6
「――流石に混んでますね」
「元日だしな」
――屯所を出発してから、二十数分。寒さから寄り添うようにして足を進めてきていたあたしたちは現在やっと近所の神社にたどり着いたところだ。
元旦は終わったといってもやはり元日、境内には結構な人出が認められ、屋台もぽつぽつ見受けられる。
「お江戸の元日ってこんなに賑やかなものなんですね」
「……まァ屯所にいちゃ感じられねェのも無理はねェな」
なにしろ仕事は待ってくれないし、元日なんて隊士たちは前日の酒を引きずってめっきり大人しくなってしまっているし。
なるほど巷じゃこんな風に新年を祝っているのか、なんて少し口角を上げて、拝殿へと足を進めた。
*
「――日本人って感じがしますね」
「どういうこった、そりゃ」
2,3分の待ち時間の末、参拝を無事終えたあたしたち。屋台を冷やかしながらそんな言葉を漏らしてみれば土方さんに少し笑われた。
「年中行事ですよ」
「だとしてもんな感想初めて聞いたぞ」
ちなみにどんなこと願ったんだ、と土方さん。
「それは言っちゃダメでしょう。叶わなくなりますよ」
「そういうもんか」
「そういうもんです」
願い事は神様と自分の間での秘密なのだ。……まぁ、そんなに大層なことを願ったわけじゃないけれど。――ただ、今年も全員無事で終われますようにとだけ。
土方さんとの仲については欲張り過ぎかと思ってなにも願わなかった。…神様に打ち明けるには少々小恥ずかしかったし。
様々な屋台から漂う匂いに見事に胃袋をやられて、なにか買っていこうかとあたしが迷い始めていると。
「―――あ!」
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ユイ - 完結おめでとうございます。不器用なりにも優しさを見せてくれる土方さんにキュンキュンされっぱなしでした、最高です! (2019年10月19日 10時) (レス) id: 7837a845b7 (このIDを非表示/違反報告)
麗桜 - 完結おめでとうございます。とーってもおもしろかったです! (2019年8月10日 18時) (レス) id: a12faa1c0b (このIDを非表示/違反報告)
鳥雫(プロフ) - 良かったですよおおおおおおおお!!!ミツバさんを入れつつ夢主とも恋愛させる、ってのが本当良かったです!!これからも応援してます!! (2018年1月15日 1時) (レス) id: 40fe2f910d (このIDを非表示/違反報告)
ありす - 完結おめでとう!面白かったです! (2017年1月29日 15時) (レス) id: f707c0d1ab (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - 完結おめでとうございます!いつも楽しく読んでもらってました!新作頑張ってください(*^◯^*) (2016年11月13日 12時) (レス) id: 6c50a9e769 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時:2016年11月5日 23時