屍ズ ページ3
―――――――
――重い。……意識を浮上させながら最初に思ったのはそんなものだった。どうにも、体が重い。
気怠さを振り切るようになんとか瞳を開けてみると、目の前には見慣れた自分の部屋が映る。小さな唸り声を上げながら体を起こせば、やはりどうにも重かった。久しぶりの飲酒のせいだろうか。
酒が入っていても根付いた習慣というのは恐ろしい。今日も今日とて5時台に起きてしまった自分に呆れつつ、ズキリと痛む頭をなんとか動かして昨日のこと――宴会の顛末を、思い出してみる。
確かあのあと…土方さんとの、口づけのあと。煩悩を刻む鐘の音をBGMに、あたしは仕事に戻って食器の片付けやら何やらを終えた。その時点で隊士はほぼほぼ潰れていて。……屍と化した彼らに毛布をかけて回ったのは覚えている。…だけども。
(……そのあと、あたし…、)
どうしたんだったっけ。…どれだけ頭の中を漁っても自室に戻った記憶は出てこない。それどころかあの部屋で毛布に包まれて意識を手放したような気がしてくる。
事実と記憶の食い違いに多少の疑問を抱きながら、ともかく昨日の空き瓶なんかも片付けてしまおうと部屋へ足を向けた。
―――そして、昨日の宴会場である。
薄々わかってはいたけれど、そこは未だいびきの大合唱で。……まぁ無理もないか、今日は勘弁してあげよう。
寛大な心をもって毛布にくるまる無数の隊士を踏み分けたあたしはひとつひとつ空き瓶を回収していった。男どもが一晩飲み散らかしたそれらは相当な量で、漂う酒臭さは寝起きの頭に甚大な被害をもたらす。
これは怠さが悪化していきそうだ。少し憂鬱なため息を吐いて、ようやっと瓶を回収し終えたそのとき。
「――もう起きてんのか」
――少々の驚きを含む土方さんの声があたしの背中を襲った。流石に夜更かしと深酒がきいたのかその声には気だるさが滲む。振り返ると顔色もあまり優れていなかった。
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ユイ - 完結おめでとうございます。不器用なりにも優しさを見せてくれる土方さんにキュンキュンされっぱなしでした、最高です! (2019年10月19日 10時) (レス) id: 7837a845b7 (このIDを非表示/違反報告)
麗桜 - 完結おめでとうございます。とーってもおもしろかったです! (2019年8月10日 18時) (レス) id: a12faa1c0b (このIDを非表示/違反報告)
鳥雫(プロフ) - 良かったですよおおおおおおおお!!!ミツバさんを入れつつ夢主とも恋愛させる、ってのが本当良かったです!!これからも応援してます!! (2018年1月15日 1時) (レス) id: 40fe2f910d (このIDを非表示/違反報告)
ありす - 完結おめでとう!面白かったです! (2017年1月29日 15時) (レス) id: f707c0d1ab (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - 完結おめでとうございます!いつも楽しく読んでもらってました!新作頑張ってください(*^◯^*) (2016年11月13日 12時) (レス) id: 6c50a9e769 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時:2016年11月5日 23時