頑固者 side土方さん ページ19
【土方さんside】
(……だが、おかしいとなると。)
――もしや粛清関連か。
数日前に終えた前回の粛清のとき、どうにも奴は不安そうな顔をしていた。…あのとき少し話してすっきりしたような顔になっていたこともあり不安も取り除かれたのだと思っていたのだが。
「……その上の空ってのはあいつがひとりのときだけなんだな？」
「そうですね。隊士に声をかけられるとハッとして…。……あ、でも副長と一緒にいるときはそんな感じはないです」
「…あのバカ……」
それがどういうことなのかは考えずともわかった。…俺に気取らせないように立ち振舞っていたか。
Aが粛清の度に少し不安そうな顔をしていたのは知っている。だが、いつもの比ではなく心細いような切ないような苦い顔をしていた奴の姿が蘇り。――我慢してどうする気だ、お前は。
「……とりあえずAと俺の間で何かあったわけじゃねェ。なんとかするから待ってろ。…教えてもらって助かった」
眉間の皺がますます深くなるのを感じながら言い、その女中のもとへ足を運ぼうと踵を返しかけていれば「あ、副長!!」などと再びその声で呼び止められた。
頭だけで振り返りそいつを見遣ると。
「それ無意味かもしれません!!」
「あァ？どういうこった」
「俺も他の隊士も色々言ってはみてるんですが、『粛清近いから余計なこと考えない、んなこと言ってる暇があったら素振りしろ』の一点張りで」
「………取り合ってもらえねェって訳か」
……そりゃ、なんというか――平常を欠いてやがるくせにどこまでもそいつらしい。こぼれたため息は心底の呆れを含んでいた。
人のことは言えた義理じゃねェが、アレも相当な頑固者であるし。
「…粛清は明後日だったか」
「明後日と、その一週間後にもひとつ」
ひとつ舌打ちを落とし俺は紫煙を吐き出した。…一週間も待っちゃいられねェことだし、明々後日には何があったか吐かせてやる。
静かな決意は胸に秘め隊士にもう一度礼を言った俺は、先ほどとは目的地が違うもののその場から足を踏み出したのだった。
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ユイ - 完結おめでとうございます。不器用なりにも優しさを見せてくれる土方さんにキュンキュンされっぱなしでした、最高です！ (2019年10月19日 10時) (
レス) id: 7837a845b7 (このIDを非表示/違反報告)
麗桜 - 完結おめでとうございます。とーってもおもしろかったです！ (2019年8月10日 18時) (レス) id: a12faa1c0b (このIDを非表示/違反報告)
鳥雫(プロフ) - 良かったですよおおおおおおおお！！！ミツバさんを入れつつ夢主とも恋愛させる、ってのが本当良かったです！！これからも応援してます！！ (2018年1月15日 1時) (レス) id: 40fe2f910d (このIDを非表示/違反報告)
ありす - 完結おめでとう！面白かったです！ (2017年1月29日 15時) (レス) id: f707c0d1ab (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - 完結おめでとうございます！いつも楽しく読んでもらってました！新作頑張ってください(*^◯^*) (2016年11月13日 12時) (レス) id: 6c50a9e769 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：中村
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時：2016年11月5日 23時
