何か side土方さん ページ18
【土方さんside】
――――――
――――
「――副長!お疲れ様です!」
「…おう、ご苦労さん」
――とある日の日暮れ、見廻りを終えた俺の現在地は屯所である。
廊下でのすれ違いざまにかけられた声に返事をしながら煙草へ火をつけていると「…あの、副長」とたった今挨拶をした隊士に引き止められ。
「どうかしたか?」
「……いやァ、どうかしたのかな〜と」
「意味がわからねェ」
自然と眉間に皺が寄った。何が言いたいんだこいつは。
目の前の隊士は何やら視線を彷徨わせ言葉を言いよどんでいるらしく。
「さっさと言え」
そして生憎俺はそれを待っていられるほど気が長くない。短気ってのもあながち否定できねェなと内心零しつつ睨みつければ、そいつは一気に顔を青で染めた。
「スミマセン言いますゥゥ!!副長はAさんと何かありましたかァァァ!!!?」
「…………はァ?」
……冷や汗まみれの言葉に素っ頓狂な声が漏れたのは不可抗力だろう。…何かあったか、だァ?
奴との関係の変化について概ね屯所中に広まっているというのは心得ている。だから今更そこらへんに突っ込んできているわけでもねェだろうし。
訝しげにそいつへ視線をやり、「どういう意味だ」と尋ねた。同時に吐き出した紫煙が掻き消えた頃、恐る恐る目の前の口が開かれる。
「――最近、Aさんの様子がおかしかったんでてっきり何かあったのかと……」
「…Aが?」
思いの外神妙だったその口調と発された名に思わず反応してしまった。……奴が、おかしい?
これでも普段からそいつの様子には気を配っているつもりだ。先日の粛清明けに少し違和感を感じて以来、特におかしなことははなかったような気がしていたが。
「――はい。…仕事中とかちらっと見たとき、ちょっと上の空というか」
どうにもその言葉を聞く限りそうでもないらしかった。
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ユイ - 完結おめでとうございます。不器用なりにも優しさを見せてくれる土方さんにキュンキュンされっぱなしでした、最高です! (2019年10月19日 10時) (レス) id: 7837a845b7 (このIDを非表示/違反報告)
麗桜 - 完結おめでとうございます。とーってもおもしろかったです! (2019年8月10日 18時) (レス) id: a12faa1c0b (このIDを非表示/違反報告)
鳥雫(プロフ) - 良かったですよおおおおおおおお!!!ミツバさんを入れつつ夢主とも恋愛させる、ってのが本当良かったです!!これからも応援してます!! (2018年1月15日 1時) (レス) id: 40fe2f910d (このIDを非表示/違反報告)
ありす - 完結おめでとう!面白かったです! (2017年1月29日 15時) (レス) id: f707c0d1ab (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - 完結おめでとうございます!いつも楽しく読んでもらってました!新作頑張ってください(*^◯^*) (2016年11月13日 12時) (レス) id: 6c50a9e769 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時:2016年11月5日 23時