美的センス ページ7
「し、新八君…!」
助けを求めるように視線の先を変えてみればなにやら明るい顔の彼。
「それはいいかもしれませんね!Aさんには苦痛かも知れないですけど銀さんをそういう相手と仮定して努力していくとか」
「えっねえあの依頼人に苦痛与える気ですか」
「つーか誰の存在が苦痛ゥゥゥウウウウ!!!?」
誰の存在も何の存在も銀さん以外の何者でもない。存在とまでは言わないけども初対面の男の人を好きになるとか――しかも銀さんを。初対面で美人じゃないとかぬかしたこの人を!
頬をヒクヒクとさせる私に反して銀さんはなにやら意地になったようで「なにがなんでもそれでいってやらァ」と。彼も彼で額に青筋が浮かんでいる。
(――いやいや、まってまって!)
これじゃおかしい、色々と!
「私は綺麗になりたいだけであって!好きな人はいらないんです!!」
「だからその過程だろーが、好きな人を俺に仮定して俺を目標に頑張る的な」
「なんですかそれ頑張りたくないィィィ!!!」
「ぶっ殺す」
半泣きの私と半ギレの銀さん。そして苦笑いの新八君。
折衷案を提案するかのように「じゃぁ、」と新八君が苦笑交じりで言葉を紡いだ。
「基準を銀さんにするとかどうです?綺麗って明確な基準がないじゃないですか」
「…と、いうと?」
「審査員みたいな感じですよ。銀さん基準の綺麗を目指していけば目標も定まりますし、やることも定まるんじゃないですか?」
「………銀さんの美的センスってどうなんでしょう?」
初対面の妙齢の女子に整形を進め美人でないと言い放った男である。恐ろしい趣味でもおかしくはない、と聞いてみれば「味覚はともかく視覚は大丈夫なはずです」とのこと。
……うん、それなら許容範囲である。決して恋とかとは関係なく審査員。審査員なら、セーフ。
「――わかりました!…じゃぁ、とりあえず何しましょう」
「……うーん…、…また考えておくので連絡先頂いてもいいですか?」
「大丈夫です」
――よかった、と安堵の息。とりあえず目的は果たせた。万々歳である。
「お前アレだよ、銀さんの審査マジ厳しいから覚悟してかかれよマジ」
とかなんとか言いつつ鼻をほじるそのひとへ白い目を向けて、「そろそろ」なんて立ち上がり。
「――それじゃ、これからよろしくお願いします」
私は万事屋をあとにしたのだった。
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高杉紗夜香(プロフ) - よく銀さんは胸が問題と言っていますが、中村さん的にはどれくらいが小さくてどれくらいが大きいんですか? (2018年1月17日 14時) (レス) id: 47ea433c10 (このIDを非表示/違反報告)
ピピ - 中村さんの作品、いつも読ませていただいてます!ヒロインと銀さんのやり取りが面白くて大好きです!これからも頑張ってください! (2016年10月10日 22時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
中村(平日低浮上)(プロフ) - 皆様コメントありがとうございます!!コマンド、笑ってくださって嬉しいです笑 じょは…ご想像におまかせします! なんとか一巻か二巻におさまるかな、という感じです。よろしくしていただけたらと思います…!! (2016年10月9日 18時) (レス) id: c9af2bf87c (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - じょ、とは一体……上玉?上等?← (2016年10月9日 8時) (レス) id: b4895c0cf1 (このIDを非表示/違反報告)
まさか(プロフ) - コマンドでお茶をふく…リアルに吹きました五年ぶりくらいに…笑 応援してます! (2016年10月7日 20時) (レス) id: fc0d9ef477 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時:2016年10月1日 23時