【銀魂】立てば芍薬【坂田銀時】

本末転倒 ページ46

「――でも、その。……私が綺麗かどうか判断するのは、銀さんで、」


「そもそもAさんは美人を目指している訳じゃないですか。銀さんにそう思われなくても美人になれればいいんじゃないですか？」




――しかし返ってきた正論に、私は反論の言葉を失った。……確かにその通りなのである。


私は初め、ただただ“美人”というものを目指して万事屋の扉を開いたはずだ。第三者に綺麗だど思われてみたい、と。……それだというのに。



(……なんだか最近、私は、)



――どうにも本末転倒となってはいなかっただろうか。……第三者とかそんな視点は考えず、銀さんから見た場合のことだけを考えていはしなかっただろうか。

ただの美人ではなくて、銀さんに綺麗と言ってもらうことのみを目標としていなかっただろうか。



見えてきた矛盾はなんとなく受け入れがたい。……だって、そもそも目指すところを見間違えていただなんて。

私はもしや馬鹿なのか、と自分への呆れを抱えつつ目標を元に…、…世間でいう美人というものに、戻した。――戻そうとした、のだけれど。



(―――…あれ、)



――見知らぬひとに綺麗だといわれる自分の姿を想像した。…そんなこと有り得ないかもしれないけれど、でも贅沢にも私はそれじゃぁ満足できないようで。

………どうしよう、と動揺の隠しきれない視線をお妙さんへ向けた。

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