後者 ページ38
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――――――
「――こ、こんばんは！」
――休日、日暮れ時。本日銀さんだけ、という情報を仕入れて万事屋へやってきたのは私である。扉を開きながら言った声は「帰れー」と一刀両断されたけれど、気にせずそこへと上がって。
「……お邪魔しますよ…？」
……態度が少し遠慮がちになってしまうのは不可抗力としてもらいたい。――計画を、実行しようとしているんだから。
特殊サドさんに策とやらを授けられたのはつい数日前のことである。それはとても単純で、しかし小恥ずかしいものであった。
万事屋の居間の扉をがらりと開けば銀さんがぼうっとテレビを眺めていて。
「……こ、こんにちは」
「…………なんでお前そんなに気合い入ってんの」
「最近万事屋以外に出向くときはいつもこうです!!」
気合い入ってる、というのは私の顔のことである。…誘惑とかするくらいならせめて顔はできるかぎり整えてきたほうがいいだろうとの考えからだ。
いつだかのお化粧大作戦のとき化粧の仕方をお妙さんから教えてもらって以来仕事なんかでも化粧を顔に纏うようにしていたから、それはもう慣れたもので。
……それなのに銀さんに見せるのは躊躇ってしまうんだから不思議である。
恥ずかしさを振り払うようにソファに腰掛けて、特殊サドさんの策を思い浮かべた。――やることは、主に二つ。
ひとつは銀さんにできるかぎり近づくということ。もうひとつは自分なりの殺し文句を吐け、ということ。
…………後者は投げやりすぎて文句はいくつか溢れたけれど、あの人の『俺に考えさせるならそりゃもう卑猥な台詞にしやすぜ』なんて言葉に負けたのだ。というかあの人見るからに年下なんだけどどういうことだ、最近の未成年はどうなってるんだ。
内心で特殊サドさんへの恨みを募らせながら恥を忍んで立ち上がり、銀さんの方へ数歩進む。……そして。
「……あ！立ちくらみが!!」
「は!?…ってうおッ、」
申し訳なさは感じている。ひしひしと感じている！……でも、ゆらりとその人の上へ倒れ込んだ。
自分の体を支えるように彼の肩へ手を置きながら顔を見下ろせば、案外近いその距離に心臓が跳ねる。銀さんの足の間に膝をついているからして距離の近さも相当なものだし。
……だけれど意外なことに、罪悪感と羞恥でどうしようもなくなってしまっている私に向けられた視線はあまり訝しみを含んでいなかった。
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高杉紗夜香(プロフ) - よく銀さんは胸が問題と言っていますが、中村さん的にはどれくらいが小さくてどれくらいが大きいんですか？ (2018年1月17日 14時) (
レス) id: 47ea433c10 (このIDを非表示/違反報告)
ピピ - 中村さんの作品、いつも読ませていただいてます！ヒロインと銀さんのやり取りが面白くて大好きです！これからも頑張ってください！ (2016年10月10日 22時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
中村(平日低浮上)(プロフ) - 皆様コメントありがとうございます!!コマンド、笑ってくださって嬉しいです笑 じょは…ご想像におまかせします！ なんとか一巻か二巻におさまるかな、という感じです。よろしくしていただけたらと思います…!! (2016年10月9日 18時) (レス) id: c9af2bf87c (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - じょ、とは一体……上玉?上等?← (2016年10月9日 8時) (レス) id: b4895c0cf1 (このIDを非表示/違反報告)
まさか(プロフ) - コマンドでお茶をふく…リアルに吹きました五年ぶりくらいに…笑 応援してます！ (2016年10月7日 20時) (レス) id: fc0d9ef477 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：中村
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時：2016年10月1日 23時
