ちょっと誇らしげ ページ29
――――――
「――こんなのどうです?銀さん」
「………」
「あっ、あっちもイイじゃないですか銀さん」
「……アノ」
――現在地、甘味屋。注文前の私たちは道に面した長椅子へと腰掛けてそんな会話をしていたのだけれど。
「…俺甘味食いに来たんだけど?なんで道行く女どもをオススメされてんの?何?季節のスイーツ?」
どうにも銀さんは不服なよう。私は仕方なく道行く女の子を指差していた手を下ろした。
「甘味より女の子とかどうかなーって」
「断然甘味」
「そんな元も子もない即答しないでくださいよ!!」
私の言葉に構いもしない彼はそれを無視して「おばちゃんみたらしィー!」と。仕方がないので「私は黒ごま一つ!」なんて頼んでおいた。
そして、本題である。なにやらこちらを怪しむような目つきをしている銀さんに向き直り背筋を伸ばした。
「……実は甘味食べたいっていうのは嘘だったんです」
「奢りは」
「それは本当ですけど!!そこより本当は何が目的だったのか気にしてもらえます!!?」
「やだよ絶対面倒臭せェやつじゃねーか」
「本当はですね!!」
無視かよとかなんとか言うその人の言葉は気にしない。そもそも私だって無視を死ぬほど食らってきているし因果応報、自業自得だ。
その興味なさげな視線に耐えながら、口を開き。
「――銀さん基準の美人を探るために、連れてきました!」
ほらどれですかあの若い子ですかそれともあっちのグラマラスな方ですか!と通りの方を指差す。一方彼は「はァ?」と。
「何がはァ?ですか!選り取り見取りですよさあ選べ!」
「キャラ崩れてんぞ。あとんなもん直接俺に聞きゃいいだろ、俺のタイプは結野アナだ」
「それ固有名詞ィィィ!!!結野アナ以外認められないやつじゃないですか!どうしようもないやつじゃないですか!」
「結野アナはそれだけ偉大ってことだな」
「ちょっと誇らしげにならないでもらえます!?」
それにもとより私は彼的な美人の基準を聞いているのである。誰もタイプなんて聞いていない。……いや、美人の基準とその人のタイプは直結するのかもしれないけれどそれとこれではまた話が別だ。
ともかく、ため息混じりで銀さんを見遣って。
「奢りはするんですから道行く人の中に美人がいたら教えてください」
そう言った。……が、しかし。返ってきたのは「なんか嫌だな」というわけのわからないものであり。
480人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
高杉紗夜香(プロフ) - よく銀さんは胸が問題と言っていますが、中村さん的にはどれくらいが小さくてどれくらいが大きいんですか? (2018年1月17日 14時) (レス) id: 47ea433c10 (このIDを非表示/違反報告)
ピピ - 中村さんの作品、いつも読ませていただいてます!ヒロインと銀さんのやり取りが面白くて大好きです!これからも頑張ってください! (2016年10月10日 22時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
中村(平日低浮上)(プロフ) - 皆様コメントありがとうございます!!コマンド、笑ってくださって嬉しいです笑 じょは…ご想像におまかせします! なんとか一巻か二巻におさまるかな、という感じです。よろしくしていただけたらと思います…!! (2016年10月9日 18時) (レス) id: c9af2bf87c (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - じょ、とは一体……上玉?上等?← (2016年10月9日 8時) (レス) id: b4895c0cf1 (このIDを非表示/違反報告)
まさか(プロフ) - コマンドでお茶をふく…リアルに吹きました五年ぶりくらいに…笑 応援してます! (2016年10月7日 20時) (レス) id: fc0d9ef477 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時:2016年10月1日 23時