中々に少ない万策 ページ26
――――――――
――――――
「――なんてことがあったんですよねえ」
――化粧の魔力を身を持って理解したあの日から、きっかり一週間。本日休日の私は久しぶりに万事屋へは出向かず志村家にお邪魔していた。対峙するのはお妙さんで、今現在一週間前のことを説明し終わったところである。
まったくどうしたら銀さんに綺麗だと言わせることができるのか、と小さくため息を漏らしていると。
「それは納得できませんね、胸が一体何だって言うんですか」
……なにやら、低い声で発したお妙さん。ちらりと目をやってみれば彼女もつまりそういうことらしかった。何がとは言わない。
共感しか感じないその言葉に「そうですよね、思考回路が腐ってるとしか」なんて返す。人間胸にぶら下がっているものより顔の方が気にされるべきである。胸なんてどうしようもないもの気にしても仕方ないのである。
「そもそも大きいからって何がいいんですか」「ですよね垂れるだけですよね」「スレンダーが流行りなんですから昨今は」「私たちは時代の最先端」……などなど、そんなやりとりをしつつ。
(――それにしても。)
――――外の風景へ、目を向けた。……それにしても、どうしろってんだ。服をどうにかしてメイクをしてもダメとなると万策尽きたようなものである。策のバリエーションは中々に少ないのである。
「……豊胸手術以外、打つ手なしですかねぇ……」
あぁぁー、と憂鬱マックスなため息をこぼした私へ、お妙さんからの視線が向けられた。大して深刻そうでもない彼女は「何言ってるんですか」ときょとんとして。
「それなら試しにデートでもしてみるのはどうですか?」
「ちょっと待ってください脈略はいずこ」
あまりにも唐突すぎるとんでもない言葉に、私はというと頭痛に襲われるのを感じた。
481人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
高杉紗夜香(プロフ) - よく銀さんは胸が問題と言っていますが、中村さん的にはどれくらいが小さくてどれくらいが大きいんですか? (2018年1月17日 14時) (レス) id: 47ea433c10 (このIDを非表示/違反報告)
ピピ - 中村さんの作品、いつも読ませていただいてます!ヒロインと銀さんのやり取りが面白くて大好きです!これからも頑張ってください! (2016年10月10日 22時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
中村(平日低浮上)(プロフ) - 皆様コメントありがとうございます!!コマンド、笑ってくださって嬉しいです笑 じょは…ご想像におまかせします! なんとか一巻か二巻におさまるかな、という感じです。よろしくしていただけたらと思います…!! (2016年10月9日 18時) (レス) id: c9af2bf87c (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - じょ、とは一体……上玉?上等?← (2016年10月9日 8時) (レス) id: b4895c0cf1 (このIDを非表示/違反報告)
まさか(プロフ) - コマンドでお茶をふく…リアルに吹きました五年ぶりくらいに…笑 応援してます! (2016年10月7日 20時) (レス) id: fc0d9ef477 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時:2016年10月1日 23時