“じょ” ページ25
そりゃ美人!って感じではないだろうけれど、きっと今まで生きてきた中で一番整っているだろう自分の顔を銀さんの方へ向けてみて。
「――それで、どうでしょう」
そんな問いを放った。……少々の自信がないといえば、嘘になる。
目標だった中の中の上くらいはクリアされてしかるべきだと天に祈りつつじぃと彼の瞳を見つめていると。
「……じょ、」
「…じょ?」
「…………いや、やめた」
「何をですかどういうことですか」
じょ、なんて発された一文字目にかなりの期待を抱いていただけに中断されたそれは不服である。しかしそんな私から視線をそらした銀さんは「アレだアレ」と口を開き。
「胸がたりねェ」
「どうしろと!!?」
「胸が足りなくて判断できねェ」
「言い直さないでもらえませんか!!」
そしてまた、失礼を生み出した。正直こちらはガッカリである。……だって、“じょ”って。
(――上のなにかと言おうとしたように、思えてならないんだけども。)
進歩できたように、思えてしまうんだけれども。
そんなほのかな期待を抱きつつ、もう一度彼を見つめてみた。これでもかというほど気力の認められないその目は、こちらを向かない。……うーん。
「照れてるんですか?」
「誰に向かって言ってんだよクソアマ、誰がんな断崖絶壁に照れるか」
「今決めました訴えます」
「訴えるって何をだよ、犯罪的な胸の小ささか。法定でバストサイズ決める気かお前」
「論点違うゥゥゥ!!!」
そうじゃなくてセクシャルハラスメント的なアレのことを言っているのである。銀さんは犯罪者だと暗に言っているのである。
いつもの通り銀髪のその人に対する恨みを増幅させ、そしてなんとかそれを飲み込んだ。
「……胸は仕方ないじゃないですか。それ抜きで考えたらどうなりますか」
「胸は仕方なくないだろ、胸が最重要事項だろ」
「殺したい」
「大体それ抜きって言われてもよー……」
あー、とかなんとか漏らしたその人。どうにも不本意そうな顔をしながら「なんか気に食わねーからヤダ」と。
「なんですかその意味不明な理論は!審査官アンタでしょうが!!」
「審査官がヤダっつってんだからダメってことでいいだろ!問題ねーだろ!!」
「問題しかねーです!!」
もうヤダと言いたいのはこちらである。溢れた重いため息はそのままに立ち上がり。
(……お妙さんにでも相談してみよう。)
そんな決意を固め、万事屋をあとにしたのだった。
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高杉紗夜香(プロフ) - よく銀さんは胸が問題と言っていますが、中村さん的にはどれくらいが小さくてどれくらいが大きいんですか? (2018年1月17日 14時) (レス) id: 47ea433c10 (このIDを非表示/違反報告)
ピピ - 中村さんの作品、いつも読ませていただいてます!ヒロインと銀さんのやり取りが面白くて大好きです!これからも頑張ってください! (2016年10月10日 22時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
中村(平日低浮上)(プロフ) - 皆様コメントありがとうございます!!コマンド、笑ってくださって嬉しいです笑 じょは…ご想像におまかせします! なんとか一巻か二巻におさまるかな、という感じです。よろしくしていただけたらと思います…!! (2016年10月9日 18時) (レス) id: c9af2bf87c (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - じょ、とは一体……上玉?上等?← (2016年10月9日 8時) (レス) id: b4895c0cf1 (このIDを非表示/違反報告)
まさか(プロフ) - コマンドでお茶をふく…リアルに吹きました五年ぶりくらいに…笑 応援してます! (2016年10月7日 20時) (レス) id: fc0d9ef477 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時:2016年10月1日 23時