上上下上右左 ページ20
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「――そういえば、気づいたんですけど」
――それは、私が万事屋に依頼を持ってきてから数週間目のある日のこと。
なんとかあのキラキラとした雑誌にも目を通せるようになり、季節のトレンドくらいは理解し始めた今日このごろ、本日休日につき万事屋へ繰り出している私は新八くんの言葉に視線を向けた。
「なに?」と聞き返しつつ首を傾げれば「なんだかんだで姉上に話聞いてないなって」と。
「……姉上?」
突如飛び出してきたその単語に疑問符が浮かぶ。――姉上、ってことは新八くん弟なのか。いや大変しっくりくるけども。
でも一体その姉上がどうしたんだ。無感動な面で話の行く先を見送っている銀さん神楽ちゃんを背景に視線で続きを促した。
新八くんはいつも通り柔和な笑顔を浮かべて。
「前、身近な女の人にインタビューしたって言ったじゃないですか。そのとき姉上にし忘れてて」
「へぇー」
「多分多少まともなアドバイスは返ってくる、……確率も低くないと思うんですが相談してみるとかどうでしょう」
「か、確率の問題なんですね……」
その口ぶりに一抹の不安がよぎる。どうしよう、と泳がせた視線が捉えたのは銀髪天パのその人であり。
(……相変わらず気の抜けた顔してるなあ…。)
ため息と共にそんな感想が浮かんだ。どう頑張ったらここまでの脱力感を醸せるんだ。――そして、ため息ついでに。
「――銀さん、ちなみに。……今のとこ私はどんな感じでしょう」
――そんな問いを放った。答えによってはなんだか怖そうな新八くんのお姉さんに会いに行こうという魂胆である。
そのマヌケと表現するのが相応しいだろう顔を、じいと見つめていれば。
「中の中の中の中の上」
「コマンド!?」
上上下上右左、とかいって表すアレに通じるものを感じ、こめかみを押さえた。――もうつまりそれ、バカみたいに平均だけど見苦しくはないみたいなとても微妙な感じだってことじゃないか!
頭の痛くなってきた私はまた新八くんの方へ視線を戻し。
「……行きます…お姉さんのとこ」
気力の尽きたその状態のまま、そう言ったのであった。
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高杉紗夜香(プロフ) - よく銀さんは胸が問題と言っていますが、中村さん的にはどれくらいが小さくてどれくらいが大きいんですか? (2018年1月17日 14時) (レス) id: 47ea433c10 (このIDを非表示/違反報告)
ピピ - 中村さんの作品、いつも読ませていただいてます!ヒロインと銀さんのやり取りが面白くて大好きです!これからも頑張ってください! (2016年10月10日 22時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
中村(平日低浮上)(プロフ) - 皆様コメントありがとうございます!!コマンド、笑ってくださって嬉しいです笑 じょは…ご想像におまかせします! なんとか一巻か二巻におさまるかな、という感じです。よろしくしていただけたらと思います…!! (2016年10月9日 18時) (レス) id: c9af2bf87c (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - じょ、とは一体……上玉?上等?← (2016年10月9日 8時) (レス) id: b4895c0cf1 (このIDを非表示/違反報告)
まさか(プロフ) - コマンドでお茶をふく…リアルに吹きました五年ぶりくらいに…笑 応援してます! (2016年10月7日 20時) (レス) id: fc0d9ef477 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時:2016年10月1日 23時