語弊 ページ10
「…語弊の有無はさておき、それがどうかしました？」
未だ見えてこない沖田くんの真意を探るように声を落とした。私の視線と言葉を受けた彼は、無言でこちらに手を伸ばす。
「沖田くん？」
彼が何を考えているのか、どうしてこんなに不機嫌なのか、なんでそんなことしているのか、…もう何もわからなくてとにもかくにも名前を呼んだ。その右手は私の後頭部に回って。
椅子に座ったまま頭を固定されるという不可思議な状況の誕生である。ひたすら困惑していれば、目の前のその人が息を吸い込んだ。
「――ムカついた」
「…ムカつく？」
「てめーが他の野郎といやがるってことにムカついた。…んでそれにムカついてる自分に更にイラついた」
「……難しくてよくわからないんですが」
「仕方ねェ、バカだからねィ」
「今侮辱されたことだけはわかりました、末代まで覚えておきます」
私の恨み言など右から左へ聞き流したらしい彼は「まァそういうことで」なんて妖しげな視線をこちらへ向けて。
「――――そんなにしりてーなら仕方ねェ」
「はい……？」
「…なに阿呆な顔してやがんだか」
沖田くんはそう言うと、ぐい、と右手――私の頭の後ろにあてがわれた右手を自身の方へ引き寄せた。一気に近づいた顔と顔との距離に頬が色づくのがわかる。
(……な、なんだコレは！…なんだコレは!!)
少なくとも私の経験にはない事態なのは確かである。半フリーズ状態の私には相変わらず沖田くんからの視線が向いていて――ダメだ、言葉を紡げない。
グシャグシャの思考回路で目の前の顔を見つめれば頬の赤が更に濃くなった。そして、それを切り裂くかのように彼は言葉を紡ぐ。
「――不祥事」
「…な、」
「……作ってやろーか」
また少し顔と顔の間の距離が縮まって、私は最早パニック状態である。
…清々しく晴れた窓の外の景色が、驚くくらい視界の中で存在感を消していた。机も黒板も時計も何もかも私の目の前から取り払われたかのような錯覚。――それくらい、沖田くんにすべてを持って行かれているらしい。
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ミズキ - これ一番好きです、何でそんなに評価低いのか全く解りません！主人公も好き！ (2017年11月25日 12時) (
レス) id: 76bba592ea (このIDを非表示/違反報告)
せりか(プロフ) - 3zの沖田くん大好きです！ (2016年9月30日 10時) (レス) id: fb7f603cb6 (このIDを非表示/違反報告)
中村＠テスト期間(プロフ) - 雪月華さん» 本当ですね！直させて頂きました...！すみません！ きっとご指摘頂けないとそのままだったと思うので、とてもとても助かりました。本当にありがとうございます！(´ヮ｀;)また何かありましたら、お知らせ頂けると幸いです！ (2016年9月19日 23時) (レス) id: 05ad8fd9f2 (このIDを非表示/違反報告)
中村＠テスト期間(プロフ) - 皆様コメント感謝です！お陰様で完結させて頂きました。とても短くなってしまい恐縮ですが、面白かったと言っていただけて嬉しさの極みです。本当にありがとうございます!! (2016年9月19日 22時) (レス) id: 05ad8fd9f2 (このIDを非表示/違反報告)
雪月華(プロフ) - すみません。１つ聞いてもよろしいでしょうか？《某月某日》の【明日に役立つ便利情報】の「最新の注意を…」は「細心の注意を…」ではないでしょうか。とっても面白かったです！テスト近いのについつい読んでしまいました。これからも面白い作品をお願いします！ (2016年9月19日 22時) (レス) id: 65bc9c8f3a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：中村
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時：2016年9月18日 13時
