ボキャブラリー ページ5
――ゆっくり、ゆっくりとデジタルカメラを下ろした。視線の先の彼は何をいうわけでもなくただ私に目を合わせていて。……冷や汗が伝う。
「……」
「……」
「………テメェ、」
その状態のまま、沈黙が数秒。あまりの緊張感に私の頬がひくりと恐怖を訴え始めたそのとき、副委員長さんの額に青筋が刻まれた。
「――今すぐデータよこせこの野郎ォォォオオオオオオ!!!」
ダダダダダ、なんてとんでもない足音が迫って来るのがわかる。――あぁもうこれだから！
一も二もなく逃げ出した私は必死のパッチというやつである。だれか助けて！なぜ沖田くんはいないの!!
データ消せだなんだと叫ぶ後方を振り返り、こちらも叫ぶ。
「データ消せばいいんですか！データ消せば満足なんですね!?」
「そうだよさっさと消しやがれ！」
「わかりました消します！それで去ってください！……ただ！」
にやり、ビビらされた仕返しに意地悪く笑ってみた。お手本は沖田くんである。
一気にスピードを上げる準備を終えたのち、また口を開き。
「――データだったらくれてやりますが、私の記事に写真はないんですよねこれが！ボキャブラリーがある限り私は不滅！はっはっは!!」
――それだけ言い残してダッシュした。……ダッシュしたのは、いいんだけども。
「んなこったろうとは思ったよ！さっさとここで明日のネタにしねェって宣言しやがれ!!」
「な、なぜ撒けない!!?」
―――どうしてか、開くと思っていた彼との差は広がらず。副委員長さんは、ペースを上げた私を先程と同じくらいの距離を置いて追いかけてきていた。……これは、つまり。
(……さっきの時点で、余力ありまくりだった…？)
私の計画では、写真なんてあってもなくても同じなんだというカミングアウトで副委員長さんが拍子抜けしている間に逃げ切ってしまう予定だったのである。…それなのに、これは、なんていう！
「――しくじったァァァアアアア!!!!」
3年の廊下に、私の叫び声が響き渡ったのだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 224人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミズキ - これ一番好きです、何でそんなに評価低いのか全く解りません！主人公も好き！ (2017年11月25日 12時) (
レス) id: 76bba592ea (このIDを非表示/違反報告)
せりか(プロフ) - 3zの沖田くん大好きです！ (2016年9月30日 10時) (レス) id: fb7f603cb6 (このIDを非表示/違反報告)
中村＠テスト期間(プロフ) - 雪月華さん» 本当ですね！直させて頂きました...！すみません！ きっとご指摘頂けないとそのままだったと思うので、とてもとても助かりました。本当にありがとうございます！(´ヮ｀;)また何かありましたら、お知らせ頂けると幸いです！ (2016年9月19日 23時) (レス) id: 05ad8fd9f2 (このIDを非表示/違反報告)
中村＠テスト期間(プロフ) - 皆様コメント感謝です！お陰様で完結させて頂きました。とても短くなってしまい恐縮ですが、面白かったと言っていただけて嬉しさの極みです。本当にありがとうございます!! (2016年9月19日 22時) (レス) id: 05ad8fd9f2 (このIDを非表示/違反報告)
雪月華(プロフ) - すみません。１つ聞いてもよろしいでしょうか？《某月某日》の【明日に役立つ便利情報】の「最新の注意を…」は「細心の注意を…」ではないでしょうか。とっても面白かったです！テスト近いのについつい読んでしまいました。これからも面白い作品をお願いします！ (2016年9月19日 22時) (レス) id: 65bc9c8f3a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：中村
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時：2016年9月18日 13時
