個性が爆発している ページ4
――――――
――お昼休み、とある廊下。こそこそとそこへ潜む私は、カメラを片手にある教室を覗き込んでいた。…言うまでもなく現在地は3年z組前である。
何が何でもネタをもぎ取ってこなければ、とお弁当を諦めてまでやってきたこの場所。……あ、ちなみにカメラ片手といっても決して新聞に写真を載せる訳ではない。描写をより正確にするためというか。
いつもならば沖田くんが見たことを根掘り葉掘り聞けるんだけど、何しろ私は現在盗み見盗み聞きをしているのである。じっくり見てもいられないし。
さて本日の3zでは一体何が起きているんだ、できるだけわかりやすい波乱が起きていますように!…そんなことを祈りつつ、そうっと教室内を見回してみる。――と。
「――おっ妙さァァァアアアアん!!今日も麗しいですねェェエエエ!!!」
「あらやだこんなところにゴリラが」
3z張り込みから、ほんの数秒。目の前を舞っていったゴリラと、グーを突き出す美女の姿。
(……アクロバ、ティック。)
さすが3年z組、一年以上の間にわたって尽きることなくずっと紙面にネタを供給してくれてきただけあって――個性が、爆発している。
既にこの雰囲気に呑まれそうだけれども、とりあえず。いつかもネタにした覚えのあるヒゲの生えたゴリラさんを写真に収めておこうと、カメラの電源を入れた。
操作に手間取る私の耳に、教室内の話し声が聞こえる。
「――オイ近藤さん、そこらへんにしねェと死ぬぞいい加減」
「何言ってんだトシ!これはお妙さんの愛情表現だぞ!」
「とりあえずもう一回ぶん殴られる前にその口閉じたほうがいい」
――この声は、副委員長さんか。近藤さんってことはつまりこの方が風紀委員長なのか、なるほど。
ようやく電源を入れることに成功したデジタルカメラをそちらに向けて、ズームアップ。
「…大体今日は総悟が休みだからまだ良かったが、もしこんなとこ新聞部に見られたら―――」
と、そこで――パシャリ。……誓って狙ったわけではないけれど、とんでもないタイミングで響いてしまったシャッター音。
覗いたレンズの先では、バチリと副委員長さんと目が合っていて。
(………あ、コレは死んだ。)
私は静かに、死を覚悟した。
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ミズキ - これ一番好きです、何でそんなに評価低いのか全く解りません!主人公も好き! (2017年11月25日 12時) (レス) id: 76bba592ea (このIDを非表示/違反報告)
せりか(プロフ) - 3zの沖田くん大好きです! (2016年9月30日 10時) (レス) id: fb7f603cb6 (このIDを非表示/違反報告)
中村@テスト期間(プロフ) - 雪月華さん» 本当ですね!直させて頂きました...!すみません! きっとご指摘頂けないとそのままだったと思うので、とてもとても助かりました。本当にありがとうございます!(´ヮ`;)また何かありましたら、お知らせ頂けると幸いです! (2016年9月19日 23時) (レス) id: 05ad8fd9f2 (このIDを非表示/違反報告)
中村@テスト期間(プロフ) - 皆様コメント感謝です!お陰様で完結させて頂きました。とても短くなってしまい恐縮ですが、面白かったと言っていただけて嬉しさの極みです。本当にありがとうございます!! (2016年9月19日 22時) (レス) id: 05ad8fd9f2 (このIDを非表示/違反報告)
雪月華(プロフ) - すみません。1つ聞いてもよろしいでしょうか?《某月某日》の【明日に役立つ便利情報】の「最新の注意を…」は「細心の注意を…」ではないでしょうか。とっても面白かったです!テスト近いのについつい読んでしまいました。これからも面白い作品をお願いします! (2016年9月19日 22時) (レス) id: 65bc9c8f3a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時:2016年9月18日 13時