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もしもあのとき ページ20

(――新聞部、失格だ。)



新聞を書く私が。言葉ですべてを伝えようと堅く決めていた私が。そこにないものを言葉にしてしまうなんて。そんなもの言葉に対する冒涜である。自分に、苛つく。




………でも。

もう完成に近づきかけた手元の白い紙へ視線を移して、私はひとつの大きなため息をついた。




(――もし、あのとき“嫌です”と言っていたら。)


それは、何を示す言葉だったのだろうか。……沖田くんは今のこの距離が“協力者”として、“友達”として適正なものだと言った。そして私たちにはそんな二つの名しかついていない。



そんな中で、あのとき。私がその距離を拒否していたならば。



それはつまり、どういうことだったのだろう。協力者も友達も拒否するということになっていたのだろうか。――何を望む言葉になっていたのだろうか。

なにかわかりそうで、わからない。もうちょっとで見えそうで、でも肝心なところでもやがかかる。もどかしいこと極まりない自問自答の中、不意に二日前の気持ちが蘇った。




……視界に入った沖田くんに、確か私の心臓はすこぶる働いていた。沖田くんと接する左腕は、大変血流がよかった。目が、逸らせなかった。

暫くぶりに沖田くんと言葉をかわせたことに、どうしようもなく安心した。もっと一緒にいたいと思った。放課後を、取り戻したいと思った。



協力者や友達同士の距離として提示された今のこの状況が、さみしく思えた。遠く、感じた。





(――――あれ、待って、コレ、)



私の気のせいかもしれない。…でもよくわからないけど、コレは――…協力者や友達に対する反応では、ないんじゃないだろうか。


知らぬ間に、気づかぬうちに。私は、心の奥底に何かを芽生えさせていたのではないだろうか。





いつの間にか私は、沖田くんをもっと特別な存在へカテゴライズしていたのではないだろうか。

……そう思った瞬間、頭の中のもやが晴れて。

事実→←言葉



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設定タグ:銀魂 , 3z , 沖田総悟   
作品ジャンル:アニメ
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ミズキ - これ一番好きです、何でそんなに評価低いのか全く解りません!主人公も好き! (2017年11月25日 12時) (レス) id: 76bba592ea (このIDを非表示/違反報告)
せりか(プロフ) - 3zの沖田くん大好きです! (2016年9月30日 10時) (レス) id: fb7f603cb6 (このIDを非表示/違反報告)
中村@テスト期間(プロフ) - 雪月華さん» 本当ですね!直させて頂きました...!すみません! きっとご指摘頂けないとそのままだったと思うので、とてもとても助かりました。本当にありがとうございます!(´ヮ`;)また何かありましたら、お知らせ頂けると幸いです! (2016年9月19日 23時) (レス) id: 05ad8fd9f2 (このIDを非表示/違反報告)
中村@テスト期間(プロフ) - 皆様コメント感謝です!お陰様で完結させて頂きました。とても短くなってしまい恐縮ですが、面白かったと言っていただけて嬉しさの極みです。本当にありがとうございます!! (2016年9月19日 22時) (レス) id: 05ad8fd9f2 (このIDを非表示/違反報告)
雪月華(プロフ) - すみません。1つ聞いてもよろしいでしょうか?《某月某日》の【明日に役立つ便利情報】の「最新の注意を…」は「細心の注意を…」ではないでしょうか。とっても面白かったです!テスト近いのについつい読んでしまいました。これからも面白い作品をお願いします! (2016年9月19日 22時) (レス) id: 65bc9c8f3a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/  
作成日時:2016年9月18日 13時

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