【銀魂3z】少年少女よ言葉を紡げ！【沖田総悟】

言葉 ページ19

――――――



「――あぁぁもう!!」



――副委員長さんに追いかけられてから、二日。相も変わらずひとりきりの社会科教室にてそう叫んだのは私であって。……理由は、簡単。




「この位ェが当たり前の距離ってやつじゃねーのかィ」





……あれからずぅっと、ぐるぐると。…彼の言葉が回っているのだというか。





「今はとりあえず、距離を守ることにします」




自分の発した言葉に、後悔がつのっているのだというか。――“距離を守ることにします”なんて。


(………バカなのか、私。)



「……うあぁぁ…」



言葉にならない声が漏れて、社会科教室に響いた。……それに、「うるせーな」とか「とうとう頭がおかしくなったか」とか「奇声あげんな」とか、そんな失礼極まりない言葉が返ってこないことに、私はこんなにも辛い気持ちを抱えているのに。

新聞を書く間、何の声も降ってこないことが、気だるくこちらを見つめる彼がいないことが、こんなにもさみしいのに。…それなのに！




(…“距離を守ることにします”。)




今なら断言できる。私はバカだ。――新聞部のくせに、自分の気持ちも紡げないなんて。言葉に、できないなんて。

私は全てのことを言葉で表したいと思ってここへ入部した。入部して、新聞を作っている。言葉を、これでもかってほどに愛している。…だから。



だから私はあのとき、そんなこと言うべきじゃなかったのだ。素直に“嫌です”と言えばよかったのだ。




ただ胸の中にある本音を、かたちにすればよかったのだ。――でも、なぜだか。


なぜだか、どうしてか、私の口はそこにないものを紡いでいた。事実でないことを、言葉にしていた。

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