当たり前の距離 ページ17
(――ど、どうしたもなにも!)
目の前でいつも通り無表情を貫く沖田くんを恨めしげに見上げた。……鼓動が!騒がしいんだってば!
落ち着かない胸の中を静めるため彼から視線をそらし、ゆっくりと口を開く。
「――最近、どうしたんですか」
……いきなり核心をついてしまうのはちょっとアレかなと思わなかったわけではない。しかしここで余計な言葉でちょっとした駆け引きをする余裕なんてないのである。
ここのところの悩みをそのままぶつければ「どうもしてねェ」なんて。
「どうもしてないことないですよね!?絶対!私がどれだけさみしい思いをしていると思ってるんですか!?」
「へー寂しいんだー」
「あぁぁぁあだからそういうことではなくてェェ!!!あ、いや寂しくないわけではないんですけどそこじゃなくってェ!!!」
ダメだこれは、もう沖田くんのペースである。私の自爆だとかそんなことはしらない。
無表情でからかいにくる彼をギリリと睨み、ため息を吐いた。
「………どうして、社会科教室に来ないんですか。…どうして、メールだけなんですか」
――この一週間ほど、沖田くんとアドレス交換したことを悔やんだことはなかった。だってこんな連絡手段さえなければ沖田くんはきっと直接目の前に現れてくれていただろうから。
文明の利器へつのった恨みの念も、沖田くんにつのった疑問も、最早山のようになっている。それをなんとか一言にまとめて放った私は、じぃと彼を見つめていたのだけれど。
「…普通の同級生やら友達やら、新聞の協力者なら」
「……はい?」
「そういう関係なら、この位ェが当たり前の距離ってやつじゃねーのかィ」
「……はい…?」
返ってきた言葉は、無情にもまた私に疑問符を浮かばせた。
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ミズキ - これ一番好きです、何でそんなに評価低いのか全く解りません!主人公も好き! (2017年11月25日 12時) (レス) id: 76bba592ea (このIDを非表示/違反報告)
せりか(プロフ) - 3zの沖田くん大好きです! (2016年9月30日 10時) (レス) id: fb7f603cb6 (このIDを非表示/違反報告)
中村@テスト期間(プロフ) - 雪月華さん» 本当ですね!直させて頂きました...!すみません! きっとご指摘頂けないとそのままだったと思うので、とてもとても助かりました。本当にありがとうございます!(´ヮ`;)また何かありましたら、お知らせ頂けると幸いです! (2016年9月19日 23時) (レス) id: 05ad8fd9f2 (このIDを非表示/違反報告)
中村@テスト期間(プロフ) - 皆様コメント感謝です!お陰様で完結させて頂きました。とても短くなってしまい恐縮ですが、面白かったと言っていただけて嬉しさの極みです。本当にありがとうございます!! (2016年9月19日 22時) (レス) id: 05ad8fd9f2 (このIDを非表示/違反報告)
雪月華(プロフ) - すみません。1つ聞いてもよろしいでしょうか?《某月某日》の【明日に役立つ便利情報】の「最新の注意を…」は「細心の注意を…」ではないでしょうか。とっても面白かったです!テスト近いのについつい読んでしまいました。これからも面白い作品をお願いします! (2016年9月19日 22時) (レス) id: 65bc9c8f3a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時:2016年9月18日 13時