検索窓
今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:60,995 hit

それの名前 ページ14

「――あー……」



状況を打開できるわけではないけれどもそんな声を発してみた。呆れた視線を向けてくれる沖田くんは、いない。

改めてひとりきりの社会科教室を見回してみてその広さと静かさに驚く。一年ちょっと前まではここで一人で新聞を作っていたというのに、前のように没頭できなくて困ってしまう。



(――どれだけ、沖田くんの存在が大きかったんだか。)



いつも、いつも。放課後ここで待っていれば沖田くんがやってくるのは当たり前だった。なんでもないようなことを駄弁りながら、新聞を囲んで。3zの話を聞いて、笑って。




沖田くんがいる、というそれだけで、この社会科教室は特別な場所になれた。




……私が新聞部を守りたかった要因の一つでもある、放課後の沖田くんとの時間。――それを失ってしまったかもしれない私は、一体どうしたらいいのか。


静かに机へ頭を伏せるといつも通り綺麗な秋晴れが目に写りこんだ。でも彼がいないせいか美しく見えないそれに、今だけは感動が湧いてこない。…こんなので『本日の青い空』、書けるんだろうか。




その人がいないと、世界がつまらない。その人がいると、全てが楽しく、美しく、特別に見える。

………さて、この感情にはどういう名前を付けたらいいんだろう。頭の中の辞書を総動員しても、答えは見えず。



打開策も原因も自分の気持ちもわからない、そんなわからないだらけの中で、ただ一つ。





「――――沖田くんに、会いたいなぁ」





ただ一つだけ確かなそれを、私は静かな三階に落としたのだった。

みんなバカヤロー→←原因不明



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (309 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
224人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , 3z , 沖田総悟   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ミズキ - これ一番好きです、何でそんなに評価低いのか全く解りません!主人公も好き! (2017年11月25日 12時) (レス) id: 76bba592ea (このIDを非表示/違反報告)
せりか(プロフ) - 3zの沖田くん大好きです! (2016年9月30日 10時) (レス) id: fb7f603cb6 (このIDを非表示/違反報告)
中村@テスト期間(プロフ) - 雪月華さん» 本当ですね!直させて頂きました...!すみません! きっとご指摘頂けないとそのままだったと思うので、とてもとても助かりました。本当にありがとうございます!(´ヮ`;)また何かありましたら、お知らせ頂けると幸いです! (2016年9月19日 23時) (レス) id: 05ad8fd9f2 (このIDを非表示/違反報告)
中村@テスト期間(プロフ) - 皆様コメント感謝です!お陰様で完結させて頂きました。とても短くなってしまい恐縮ですが、面白かったと言っていただけて嬉しさの極みです。本当にありがとうございます!! (2016年9月19日 22時) (レス) id: 05ad8fd9f2 (このIDを非表示/違反報告)
雪月華(プロフ) - すみません。1つ聞いてもよろしいでしょうか?《某月某日》の【明日に役立つ便利情報】の「最新の注意を…」は「細心の注意を…」ではないでしょうか。とっても面白かったです!テスト近いのについつい読んでしまいました。これからも面白い作品をお願いします! (2016年9月19日 22時) (レス) id: 65bc9c8f3a (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/  
作成日時:2016年9月18日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。