脳天チョップ ページ1
――――――――
――秋晴れが覗く、社会科教室。まだまだ残暑というやつがあたりを包む今日この頃、私はいつもの通り沖田くんと向かい合っていて――しかし。
「――それでは、新聞部の発足を祝って万歳三唱!」
珍しいことに、目の前に新聞は広がっていなかった。…まだ。その場に起立した私は元気いっぱいに「ばんざーい!」なんて両手を上げていたのだけれども。
「バンザーイ!」
「……、」
「ばんざー…、――いだッ!」
万歳三唱の、三唱目。それを切り裂くように決まった、脳天チョップ。
「何するんですか沖田くん!最近チョップ率高くないですか!?必殺技ですか!!」
「何するんですかってそりゃこっちの台詞でィ。てめー突然何しだしやがる」
「だって新聞部の新たな門出ですよ!?部員二人で再出発ですよ!!?」
「だからって一人で万歳しだすアホがあるかバカ」
「罵倒!罵倒の嵐!」
ひりひりと痛む頭をおさえた。…痛い。とても痛い。う、と沖田くんへじとりとした視線を向ける。――今日は、新生新聞部一日目であるのだ。おめでたく祝っていたというのに、沖田くんたら。
「もっとノリよくいきましょうよ!」
「ばんざーい」
「目!目が死んでる!声が生きてない!!」
「悪りィそこまでアホになりきれなかった」
「不祥事暴いてやるゥゥウウウ!!!」
もうしっかりしてくださいよ、と彼へ目を向ける。ため息混じりで苦笑を浮かべ。
「副部長なんですから!」
「…へーへー」
――そう、沖田くんが新聞部に入ってくれることとなって、なんとかこの場で廃部というのは免れて。晴れてというかなんというか、新聞部は二名だけの部活となったのだ。
つまり役職不可避という状況だというか。私が部長であるからして自動的に沖田くんは副部長となったのである。
「いやぁ、沖田くんが副部長とかすごく似合いませんね」
「退部する」
「ごめんなさい反省してます」
今までもほぼ新聞部のようなものではあったけれども、改めて彼が入部してくれるとなると嬉しさから口元がゆるんだ。にやにやしつつ紡いだ反省の言葉には勿論チョップが降ってくる。
「婦女暴行って書きますよ、新聞に」
「言っときやがれ」
相も変わらず雑にあしらわれるけど、やはり。――やはり、嬉しい。
上機嫌を極めた私はにんまりと笑みを浮かべながら、「新聞部えいえいおー!」なんて右手を突き上げたのだった。
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ミズキ - これ一番好きです、何でそんなに評価低いのか全く解りません!主人公も好き! (2017年11月25日 12時) (レス) id: 76bba592ea (このIDを非表示/違反報告)
せりか(プロフ) - 3zの沖田くん大好きです! (2016年9月30日 10時) (レス) id: fb7f603cb6 (このIDを非表示/違反報告)
中村@テスト期間(プロフ) - 雪月華さん» 本当ですね!直させて頂きました...!すみません! きっとご指摘頂けないとそのままだったと思うので、とてもとても助かりました。本当にありがとうございます!(´ヮ`;)また何かありましたら、お知らせ頂けると幸いです! (2016年9月19日 23時) (レス) id: 05ad8fd9f2 (このIDを非表示/違反報告)
中村@テスト期間(プロフ) - 皆様コメント感謝です!お陰様で完結させて頂きました。とても短くなってしまい恐縮ですが、面白かったと言っていただけて嬉しさの極みです。本当にありがとうございます!! (2016年9月19日 22時) (レス) id: 05ad8fd9f2 (このIDを非表示/違反報告)
雪月華(プロフ) - すみません。1つ聞いてもよろしいでしょうか?《某月某日》の【明日に役立つ便利情報】の「最新の注意を…」は「細心の注意を…」ではないでしょうか。とっても面白かったです!テスト近いのについつい読んでしまいました。これからも面白い作品をお願いします! (2016年9月19日 22時) (レス) id: 65bc9c8f3a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時:2016年9月18日 13時