気怠く軽く ページ29
「――いや、何お前!何の告白ゥ!!?」
ひとしきりむせ終わった坂田さんがおしぼり片手に言う。…そんなことを言われましても。
「相談する上でどう転んでも話さなきゃいけなかったんですよ」
「にしてもな!もうちょっと切り出し方があるだろーが!」
「仕方ないじゃないですかー!」
恥ずかしさやら何やらのせいで火照る顔を隠すようにビールをあおった。あああもうーという私のうめき声を拾ったらしき坂田さんは「まぁ恋愛経験少ないとは聞いてたけどよ」なんてため息混じりに吐き出し。
「まさかそこまでとは」
「喧嘩売ってるんですか」
どうせ人生負け組ですよ、リアルに充実してないですよ、と唇を尖らせる。
「なにもそこまで言ってねーだろーが。つーかほんとに微塵もねーの?外見は整ってんだろ」
「…そりゃ、告白されたことくらいありますけど」
でも、と口ごもる。ここから先の言葉は毎度毎度友人たちに馬鹿だなんだと言われてきた内容なのだ。
(…まあでも、相談するって決めたし。)
何を言われても受け止めよう。ふぅと息を吐きながら口を開いて。
「……別に、相手が嫌だったとかじゃないんですけど、…好きじゃない人とそういう関係になるのは嫌なので、今までは全部断ってきました」
――何それ、もったいない!
――もっと将来考えなって!
――そんなんじゃ一生幸せになれないよ!
今まで貰った助言が頭をかすめる。坂田さんはどんな言葉を発するのだろうか、なんて考えながらビールの泡を見つめていると。
「なるほどな」
「はい?」
返ってきたのは、まさかまさかの肯定の言葉であって。――なるほど?
「馬鹿にしたりとか、しないんですか?」
「なんでんなことしなきゃならねーんだよ」
「だ、だって私が悩んでたのまさにそこで、」
「悩み?」
「…今日若手のホープとやらに告白されたんですがそんな理由で断ったんです。それについて同僚にもったいないとか幸せになれないとか色々、…助言を受けまして。わからなくなってたんです」
好きな人でないと嫌だ、なんていうのはお子様なのか。現実を見ていないということなのか。夢を見ているということなのか。
しかし、坂田さんはそんな私の悩みなど気怠く簡単に吹き飛ばしてしまうようで。
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四葉(プロフ) - 中村さんの作品、いつも見ております!銀八がかっこよすぎますね…あんなお隣さん欲しい…これからも頑張って下さい(*´ω`*) (2016年8月8日 7時) (レス) id: ca3544b3d3 (このIDを非表示/違反報告)
(・・) - 銀八が…完全に私をキュン死させに来てる…!((更新頑張ってください!応援してます! (2016年8月8日 1時) (レス) id: 22f5214bf5 (このIDを非表示/違反報告)
中村@本日浮上(プロフ) - 皆様コメント感謝です…!!ひとつひとつのお言葉に力をもらっています、ありがとうございます!行き当たりばったりの亀更新ですが、できる限りがんばりますのでよろしくお願い致しますー! (2016年7月31日 22時) (レス) id: c9af2bf87c (このIDを非表示/違反報告)
サド丸78号(プロフ) - 銀八先生イケメンです!!中村さんの作品はどれもキュンキュンします!! (2016年7月31日 21時) (レス) id: e915f4d862 (このIDを非表示/違反報告)
ゆおん(プロフ) - 素敵すぎて惚れてしまいそうです……!!お忙しい中、更新ありがとうございます!Twitterの方、リプ送らせてもらいましたので良ければ見てください。これからも応援してます!! (2016年7月27日 1時) (レス) id: 46f4f5d279 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時:2015年11月29日 11時