【銀魂】おとなりさん【坂田銀八】

ないない ページ27

「…相手の条件で選んでも、絶対幸せじゃないでしょ」

「もー！お子様なんだから！」



いい？と彼女。



「パートナーってのは、いざって時に頼れる人でしょう。で、自分が壊れないためにもそれは大きいほうがいいの。そのためには地位も名誉も必須よ」

「……だけどさ、」

「べっつにそれが全てとも言わないけど、現れもしない好きな人を待ってるよりは、好いてくれる好青年に手を出したほうがいいんじゃない？」



思わず、反論の言葉に詰まってしまった。……確かに彼女の言うことには一理ある。聞く人によっては彼女が正しいと言うかもしれない。

そりゃぁ、だって。いつまでも好きな人が出来るのを待っているっていうのもこの年の女としてよくないのかもしれないし、告白してくれたあの人が悪い人ではないんだろうなということはわかっている。



「…でもさぁ……」



だけどそれでも私の心は納得してくれないのだ。少しだけむすりとしながら同僚を見つめ返し。



「なんかダメなの、私が悪いけどなんかダメなの。もやっとする」



…さっきの好青年には申し訳ないけれども。

私の気持ちが動かないことを察したらしき彼女は「あーもう」と深いため息をついた。



「あんたがいいならいいけどね。勿体無い奴め」

「いいんですー」



…と、言いながらも同僚の言葉による迷いは心に残っており。

(……誰かに相談、したいなあ。)


例えば自分の意見を押し付けない、信頼のおける人とかに。まあそんな存在が私にいるわけないんだけれど―――…って、あれ。




(…いや、いやいや。)


“自分の意見を押し付けない、信頼のおける人”

その言葉とともに頭に浮かんだひとつの顔をかき消すように、私はぶんと頭を振ったのだった。

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