【銀魂】おとなりさん【坂田銀八】

あんな、 ページ25

「――――はあ…」



現在時刻午前11時40分。たった今我が家から坂田さんを追い出した私は、そんなため息をこぼした。

(……あぁ、もうどうしよう。)

トン、と寄りかかっていた壁に頭を預ける。

(…顔の赤みが、引かない。)

――もう、一体私はどうしてしまったのだか。



しかし、そもそもの原因は確か私ではなかったはずである。元をたどれば坂田さんが不法侵入をしていたことがすべての元凶で、そこからすっぴんを凝視される羽目になったり……あんな、


(……あんな、…あんな…)



「………ああああ、」


思い出すだけでもダメだ、どうしようもない。――だって！仕方なかったとはいえ男の人とあんなに密着したことなんてないし。

大体坂田さんも坂田さんだ。助けてくれたのはありがたい、大いにありがたいけど、そこで呟いた言葉が『ノーブラ』だ。免疫がなく混乱しているところにあれを投下されてはたまったものではない。


(しかも、坂田さんは平気な顔だし。)


私のド混乱とは正反対のその態度に、余計こちらの羞恥が煽られてしまったというか。…あぁもう、思い出したらムカムカしてきた。なぜ坂田さんはあんなに普通でいられるんだ。こちとらこの動揺のしようだっていうのに。

確かに彼はそういうことに慣れていそうな雰囲気がないでもないけど、それならば余計ダメだ。何がというわけではなく、私の気に食わないってだけだけれど。



それに何よりの問題は坂田さんの最後の言葉だ。彼は『からかいすぎた』と去っていったはずだ。つまり、なんとからかわれていたのだ！




「――あーもう、」


次飲みに行くときは絶対に奢ってもらおう。恋愛経験ゼロの二十代独身女性をからかった罪は重い。
よし、とりあえずこれでこの悩みは解決、と私は自分の頬を叩いた。






(…まあ、でも。)

―――不幸中の幸いとして、相手が坂田さんであったことだけは良かった。かも、しれない。

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