【銀魂】浅き夢見じ酔ひもせず【高杉晋助】

巻き込まれる ページ7

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「―――そういえば聞きましたか、深津さん」



――と、春雨の艦内にて武市さんからそんな声がかけられたのは、私たち鬼兵隊がこの暗闇の中へ戻ってきて一日が経過したあたりでのこと。



･･･深津というその名はもう捨てたものであるからして、訂正しようかと一瞬迷ったけれど･･まぁいいかといつも通り武市さんに向き直った。

･･まぁ深津でなければ何と呼べば良いのかという話であるし、実際それほど重要なことでもないのだ。――今は、それより。




「･･･何を、ですか？」


「例の面倒事についてですよ。晋助殿から多少は聞いているんでしょう？」




･･どうやら、その話の内容の方が大分大事らしくて。


面倒事というと、最近はそれのことばかり考えている。それは何だろうと思案するまでもなく思いついた。




「――裏切り者の件、ですね」


「ええ、そうです。どうにも私たちがここを空けていた間にある女性の天人が春雨を裏切ったようでしてねぇ。しかも囚われたはずのその女性が何者かの手引きで逃げ出したなんて、面倒なことです」




よくあの短期間の間にそれだけ面倒なことが起きますよねぇ、なんて武市さん。･･･同感だ。

だけれどそのお陰で鬼兵隊への疑いの視線は塵ほどもない。･･関わることが物理的に不可能だったのだから当たり前なのだけど･･･、･･まぁその点だけは良かったと思う。



しかし、武市さんは「幸運でもありませんよ」と。･･どうやら私の思考が見透かされていたらしい。




「なんといっても今回鬼兵隊にお鉢が回ってきたのはそのせいですからね」


「･･･そのせい？」


「鬼兵隊は今回のことに関われない。･･つまり、全員が潔白の身です。――捜査をさせるには丁度いいでしょう」


「･･成程」




確かに捜査する側に真犯人がいたとしたら永遠にことは解決しない。･･だからそんな面倒事がこちらへ回ってきてしまったわけか。



「･･･大変、ですね」

「ええ。･･ただ、あまり他人事とは思っていられませんよ」




――貴方もすぐに巻き込まれるでしょうし。


･･何気なく付け足されて、気を抜いていれば聞き逃してしまったであろう言葉。････巻き込まれる、とは。

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