謝罪と、それと ページ28
(・・・――ありがとう。)
――――謝罪と同時に頭に浮かべた、そんな言葉。・・私は彼女の大切な人を見つけ出してしまった。それに対しては罪悪感を感じる。・・けれど。
けれどその一方で、彼女のおかげでわかったこともあるのだ。――私は高杉さんに惚れているということ、とか。
それがとてつもなく自分の中で大きくなってしまっていて・・隠しようもないし、隠し通すこともできないこととか。
――ここのところ考えていたことは、何も無刹さんのことだけではない。・・・・無刹さんの気持ちを知るためと言いながら、自然に浮かんできてしまったそれを考えていたりもしたのだ。・・つまり。
・・・・・・高杉さんのことも考えてしまっていたのだ。・・そして、そちらの結論もなんとか出た。
――――こんな状況にそんな浮ついた情は必要ない。・・・それが、私が最初に思ったこと。
・・きっとそれも間違ってはいない。間違ってはいないけれど、だからといってそれでは解決ができない。――だって、先程も言ったように“捨て去ること”もできないのだから。
・・・しかし、ならばどうすれば良いのか、というのが本題で。
でもそれもすぐに答えは見つかった。高杉さんは恋情故に組織に反旗を翻すような者は好かないと言っていたのだ。・・・つまり、少なくともその感情自体を忌み嫌っているわけではないということ。
――ならば、正直私のここまでの思い悩みも杞憂ではないのか。
・・勿論それが邪魔になることもあるかもしれない。だけれど、捨て去ることもできないのだ。どうしようもないし。
(――――悩んでいたって、仕方がないか。)
高杉さんがもしそれに気づいてしまったら・・、・・・そのときはそのときだ。
漸くそんな風に思えてきた、丁度今日のことだった。
「――今晩、酌に来い」
――――高杉さんから、そんな声がかかったのは。
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ユイ - 完結おめでとうございます。とても素敵な作品で、最初の方から休まず一気に読んでしまいました。それに、描写がとても綺麗でもあり、妖艶で惚れました。最高です。 (2019年10月20日 10時) (レス) id: 7837a845b7 (このIDを非表示/違反報告)
Physics(プロフ) - 流れるような描写がすごく綺麗でした!読了後に「色は匂へど散りぬるを」の最初の方を読み返して夢主の成長を感じ、色んな意味で強くなったなあ、なんて思ってしまいました。最後に、素敵な作品をありがとうございました! (2017年5月9日 18時) (レス) id: 28db851a9c (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち - 完成おめでとうございます!初めて見たけど面白かったです!! (2017年3月26日 18時) (レス) id: 8a0b328429 (このIDを非表示/違反報告)
碧瀬(プロフ) - とても素敵な作品でした。完結おめでとうございます。 (2017年1月29日 1時) (レス) id: 33020b63e9 (このIDを非表示/違反報告)
呪者 - あぁ!高杉むずかしい!完結おめでとうございます!(^^) (2016年8月24日 10時) (レス) id: e80216b179 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時:2015年3月23日 23時