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どちらか ページ14

「・・・・っ」



――私の言葉を聞いて、無刹さんは不服そうながらも口を閉じた。・・・閉じて、またこちらを睨む。



「・・御免なさい、意地の悪い物言いをしてしまって」


「・・・・・・んなこと思ってないくせに」


「思っています。・・同情していますもの」



心を動かされはしないけれど、といつかも思ったそれを付け足せば、彼女は「あぁそう」と。



「あたしだって期待しちゃいないわ。ここで死を待つのみよ」

「・・・本当に?」

「・・何よ、ニンゲン」



――本当に貴女はそう思っているの?なんて発したそれは、意外にも無刹さんの瞳を微かに揺らした。

(・・・・――もしかして、これは。)



図星というやつ、だろうか。

いつもはそれを突かれる側だから、自分が誰かのそれを突いたという事に思わず驚いてしまう。


――――まぁ、ともかくだ。




「・・無刹さん、図星でしょうか」


「・・・・・うるさい。あんたなんかに関係は、」「――何を期待しているの?」


「・・・――っ」




―――綺麗な、赤い瞳。

ゆらり、ゆらりと揺れていた。――その目に、絶望の色はない。




「――“あぁ、また捕まってしまった”」


「・・・」


「――“折角一度は抜け出せたというのに”」


「・・・・・・・」


「――“まぁでも、大丈夫”」


「・・・・・・・・・・・、」




「――――“また、助けてもらえるから”」
「――やめろ!」



・・かしゃん。彼女の手首に繋がれた頑丈そうな鎖が音を立てる。

その殺気立った視線は私を突き刺し、場はどこか殺伐としだした。



「――そう興奮せずに、無刹さん」



また、私は先ほどの緩い笑みを浮かべた。



「・・・まだまだ時間は沢山ありますから。――覚悟、決めてくださいね」







――――ぴしりと張り詰めた空気から逃げたがっているのは、私と彼女のどちらだろうか。

消耗、→←持ち合わせていなくとも



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設定タグ:銀魂 , 高杉晋助 , シリアス   
作品ジャンル:アニメ
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ユイ - 完結おめでとうございます。とても素敵な作品で、最初の方から休まず一気に読んでしまいました。それに、描写がとても綺麗でもあり、妖艶で惚れました。最高です。 (2019年10月20日 10時) (レス) id: 7837a845b7 (このIDを非表示/違反報告)
Physics(プロフ) - 流れるような描写がすごく綺麗でした!読了後に「色は匂へど散りぬるを」の最初の方を読み返して夢主の成長を感じ、色んな意味で強くなったなあ、なんて思ってしまいました。最後に、素敵な作品をありがとうございました! (2017年5月9日 18時) (レス) id: 28db851a9c (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち - 完成おめでとうございます!初めて見たけど面白かったです!! (2017年3月26日 18時) (レス) id: 8a0b328429 (このIDを非表示/違反報告)
碧瀬(プロフ) - とても素敵な作品でした。完結おめでとうございます。 (2017年1月29日 1時) (レス) id: 33020b63e9 (このIDを非表示/違反報告)
呪者 - あぁ!高杉むずかしい!完結おめでとうございます!(^^) (2016年8月24日 10時) (レス) id: e80216b179 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/  
作成日時:2015年3月23日 23時

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