【銀魂】有為の奥山今日越えて【高杉晋助】

自身に呆れるほど ページ10

「･･ございません、これっぽっちも。――それで、報告ですが」



さて何から言えば良いのかと少し頭を巡らせる。



･･――駿河様の人柄について？･･･否、それは既に知っているだろう。

ならば、彼の命令内容についてか。･･それもさして重要だとは思えない。



高杉さんを見つめたまま私が困り果てて固まっていると。



「･･そう固くなるな」

「････申し訳ございません」

「何も難しいことを聞きてェ訳じゃねェ。――奴に何かされたか」



じぃと、こちらを見透かすようなその目。鋭く、しかしするりと心へ入り込んでくるそれはなんだか私の心の中までお見通しのように思えて――･･落ち着かない。


(･･･と、いうか。)




――何か、されたか？

高杉さんからの問いに少々首をひねる。･･だって、“何かされたか”だなんて。



「･･それは･･、･･どういうことでしょう？」


全く、なんというか私は要領が悪くていけない。いつも彼の言うことが理解できなくて情けない程だ。･････もしかしたら高杉さんの言葉が難しいだけなのかもしれないけれど。


とにもかくにも、いつもの例に漏れず私が彼にそう尋ねれば。




「･･･どういうも何もねェ。何かされたかって聞いてんだ」


「･･暴力行為など、でしょうか」


「その手のもんだな」




うぅん、と私は考えた。今日一日を最初から思い返して･･――。




「――･･ありません、ね」



結局、見つかったのは駿河様の潔白。散々嫌味は言われたけれど暴力は流石になかった。･･と、思う。

一方、私の答を聞いた高杉さんは何を発するでもなく「そうか」なんて紫煙を吐き出しており。

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