【銀魂】有為の奥山今日越えて【高杉晋助】

利用価値 ページ41

――――“どうして”。


････高杉さんは、それを私に聞くのか。･･･きっと彼が一番わかっているはずであるのに。

――きっと彼は、そのためにここまで来たのだというのに。



「――――私の、利用価値」

「････利用価値？」



吐き出した言葉は青白く光って闇にとける。

･･私は薄い微笑みを顔に貼り付けた。




「･･･高杉さんにとって、私の利用価値は“これ”だったのでしょう？」



“これ”――――･･父を斬らせること。

深津左衛門を深津の娘に斬らせて、心身ともに彼を折ること。･････そのための道具だったはずだ、私は。


高杉さんは前にそう仰っていた。――だから。




「･･――高杉さん、私は父を斬りましたよ」



斬った。私は彼を、紛れもなく。

････父は心の底から絶望したはずだ。己の思い通りに動かせていた傀儡が自身に刃を向けたのだから。




･････そして。




「――そうなれば、私にはもう利用価値なんてありはしない」




だって果たしてしまったんだもの。･･･斬って、しまったんだもの。

道具は道具なりに使われた。使いどころのない道具は捨てられる。――それだけ。



ただそれだけのことだ。彼に非なんてありはしない。

私は貼り付けていた笑みを更に濃くした。右手に握っていた真剣は投げ捨てて。

わかっていた→←どこか不気味な

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す