【銀魂】有為の奥山今日越えて【高杉晋助】

責任 ページ39

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――ぽたり、と紅い雫が刃先から滴り落ちる。

･･･今は桜の木に背中を預けながら月を見上げているところで。


(･･――私は、とうとう･･･、)




「――やり遂げて、しまった」




目の端に映るかつて父だったものに、少し眉をひそめて息を吐いた。･･私は実父を斬ったわけか。

か細いながらも月の光はしかと私の咎を映し出していて。



･････また一つ増えたそれは、ほんの少しだけ痛い。



(･･･それに。)



以前人を斬ってしまったとき、私はその痛みを忘れてしまうかもしれないと不安になった。･･でも今思うと、逆である。

･･きっと私は人を斬るたび何かを痛ませるのだろう。――そしてそれを、後悔などしないのだろう。


咎を負っても、人を斬っても、たとえ自らの命が燃え尽きようとも。･･それを後悔なんてしない。



それがきっと責任というものだ。私が果たさなければならない、責任。




――――未だか細く青白いそれがなんだか私には眩しすぎるような気がして、瞼を伏せたそのとき。






「――――やったか」



――静寂に落とされた、低い声。･･･その主はというと。



「････高杉さん」



･･勿論のことその人だ。いつの間にここまで来たのかはわからないけれど、高杉さんはいつものように煙管の煙を漂わせており。




「･･･――高杉さんも、戦ってらしたんですか」

「何馬鹿言ってやがる。･･俺が出るまでもねェ」



ぼんやり尋ねた言葉は即座に一蹴された。･･まぁ、それもそうか。

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