いつかのように ページ36
「・・・・――驚きましたか、父上。もう死んだものだと思ってらしたのでは?」
――――まるで、いつかのように。私がただの深窓の令嬢であった、いつかのように。
上品な微笑みを浮かべて言えば、父は何故か少し慌てるような様子を見せた。
「・・・・な・・何を、言う。私はお前が心配で夜も眠れぬほど・・」
「・・それはそれは、光栄です」
――でも貴方が本当に心配しているのは、自身の地位でしょう?
・・・・・そんな言葉を、なんとか飲み込み。
「・・・――だけれど、父上」
「な、なんだ・・?」
私の雰囲気にどこか怯んだような父。・・仕方ないだろう。だって今まで私はその場の雰囲気に流されるだけで自分自身のそれは持っていなかったのだから。
微笑みを絶やさぬまま、私は口を開いた。
「――貴方の知っている私は、既に失くなってしまった」
――貴方が望む“使い勝手の良い傀儡”は、既に消え失せた。・・空っぽの私は、死んだ。
「・・・・ねぇ、深津左衛門」
きん、と刀を彼に向けた私。父は見開いた目を更に見張った。
「――貴方は咎人かしら」
――月光が頬を撫でる。銀色の刀が鋭く光り、その先の父は冷や汗を一筋頬に伝わせた。
無言が続く庭の中、視界の端に一本の樹が映って。
(・・――あの、樹は。)
桜だったか、確か。
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minami☆(プロフ) - いつも見てます。頑張ってくださいv(*⌒0⌒)v (2015年3月18日 7時) (レス) id: ffe66244c5 (このIDを非表示/違反報告)
高杉総悟 - 俺の姉のも受験生なんです。「受かってるかな?」(>_<)といつも言ってますぜ (2015年3月13日 22時) (レス) id: 8aa907f804 (このIDを非表示/違反報告)
中村@3/11受験(プロフ) - 応援コメ本当にありがとうございました!お陰様でなんとか終えられました・・ε-(´∀`*)結果はまだ分かりませんが、これからは以前の更新ペースに戻れるかと思われます。・・といってもやはり休日のみなのですが(^_^;) 精一杯頑張りますので、宜しくお願い致します! (2015年3月11日 17時) (レス) id: 0d3c6b7cce (このIDを非表示/違反報告)
くるぅある - 明日いよいよ受験ですね!!fight!!!!ですよ☆ (2015年3月10日 18時) (レス) id: 272b881e40 (このIDを非表示/違反報告)
高杉総悟 - 受験頑張ってください (2015年3月8日 19時) (レス) id: 8aa907f804 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時:2015年2月28日 22時