なんてことないその瞬間 ページ48
…そして、それを掘り起こして――…本物の恋へと昇華させてしまいそうな私は、とんでもない大馬鹿者だろう。
…と。
「――A?」
「…な…っ、なに?」
――少し考え込んでいた私を不審に思ったのか、銀時が声をかけてきた。…返した声は少しどもってしまったけど、まぁ大目に見て欲しい。
で、要件は、とそいつへ目を向けると。
「…別になんでもねーよ。ボケっとしてただろ」
…誰のせいだ。
「…こっちもなんでもない」
「ぶすっとしやがって。顔が台無しだぞ」
「うっさいボケ」
「…酔っ払ったか?」
……酔っ払ってなんかいないけど、多分。
むすっとした顔のまま、また酒を一口飲み込めば。
「――なに拗ねてんだ、アホ」
わしゃわしゃと頭を掻き回されて。
「――――な、」
さらっさらだなお前、なんて戸惑う私など露知らずそいつは髪の毛で遊び始める。
――視界の端を自分の黒髪がちらつき、しかし意識が向くのは頬に触れそうな位置にあるそいつの左手。
「…な、に…してんの…、」
かぁ、と自分の顔が赤く染まるのがわかって。一方銀時は「あ?」ととぼけたような顔をしていた。――そして、そのとき。
――――――なんだかそのとき、…私は、“オチた”と思ったのだ。
…十年越しで、恋が始まるような――始まって、しまったような。そんな気持ちが。………そいつになんて、惚れない方がいいのにという後悔の気持ちが。
…確かに、胸にあって。
(…馬鹿、私。)
――取り敢えず、今私が思うのは。
(……男見る目、なさすぎ。)
目の前で飲んだくれるアホ面に、赤い顔のままため息を吐いたのだった。
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ひえい - この作品特に好きです!もっとお話が読みたかった〜! (2016年10月16日 22時) (レス) id: 958d91a48d (このIDを非表示/違反報告)
梛柚圖畄 - こ、これは面白いぞ!!中村さんの作品大好きです!これからも応援してまっす (2015年1月16日 22時) (レス) id: f037178d24 (このIDを非表示/違反報告)
ごまぶちょー(プロフ) - 文才があるとはこのこと…夢主ちゃんの性格好きです!ツンデレっぽくてw 銀さんもかっこいい!更新頑張ってください(*´ω`*) (2015年1月14日 16時) (レス) id: 4b6f2064c5 (このIDを非表示/違反報告)
とまとん - 面白い (2015年1月13日 3時) (レス) id: 45219dddd0 (このIDを非表示/違反報告)
中村@57巻ショック(プロフ) - 皆様コメ感謝です!!私も銀さんは大好きなので書いていて楽しいのですが、銀さんの格好良さがかけているか、不安です(;・∀・) 出来る限り頑張らさせて頂きますので、よろしくお願い致します! (2015年1月11日 23時) (レス) id: 0d3c6b7cce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時:2015年1月11日 9時