そういえば上戸 ページ5
「…いや、なんでって言われてもな」
適当に入ったらそいつがいただけだし?
…綺麗な関係じゃなかったっつっても、別に俺たちの仲が悪かったわけじゃねェ。普通に仲は良かった…はずだ。憎まれ口ばかりだった気もするが。そうじゃなかったら話しかけねーし。
(…まぁ、昔の仲間を懐かしむ感覚か。)
そいつを“昔の仲間”の括りに入れて良いものか、少しの疑問は残るが――…取り敢えず、話しかけたのはそんなわけである。…それより。
「お前こそ何してんだよこんなとこで。戦争以来音沙汰ねーし」
「…音沙汰も何も、私達の軍とアンタらの軍は途中でばらばらになったでしょ。…あそこで縁が切れたものだと思ってたけど」
「切れるわけねーだろ。現にこうしてかち合っちまった訳だし」
俺の言葉に「どうだか」などとぼやきつつまたコップに焼酎をつぎ足すそいつ。そういや上戸だったか。
「…というか、白夜叉。アンタよく捕まってないわね」
「うっせーんだよ、んなこと言ったらテメーもだろ」
「私は無名のいち戦士だったでしょ」
「にしちゃよく生き残ったじゃねーか」
「早いとこ見切りをつけたからかもね」
アンタたちの軍と別れたあと、数ヶ月と経たずに戦から離れた、と。…初耳だが、当仕方ねェだろう。なんてったって約十年ぶりだ。
と、そこで少しの疑問にぶちあたり。
「――そういやお前、今何してんの?」
――また焼酎をつぎ足しているそいつへ向けて発した。流石に攘夷志士とかやってねーよな、なんつー心配をしていれば。
「…何って程でもない。不況のあおり受けちゃって仕事見つかんないし、気ままにバイト生活」
「悲しい現実だな」
そう言った俺へ「アンタは?」などとこちらへ視線を向けるそいつ。
「………俺はアレだ、社長的な」
「あぁ、使用済みちり紙屋とかの?」
「限りなくゴミに近けェじゃねーかそれ!!!」
「だってアンタほぼゴミでしょ。…で、本当は」
これ以上ふざけんじゃないわよ、なんつー言葉とともに睨みが飛んでくるが、しかしほろ酔いなのかほんのりと赤い頬のせいで迫力は皆無である。
865人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ひえい - この作品特に好きです!もっとお話が読みたかった〜! (2016年10月16日 22時) (レス) id: 958d91a48d (このIDを非表示/違反報告)
梛柚圖畄 - こ、これは面白いぞ!!中村さんの作品大好きです!これからも応援してまっす (2015年1月16日 22時) (レス) id: f037178d24 (このIDを非表示/違反報告)
ごまぶちょー(プロフ) - 文才があるとはこのこと…夢主ちゃんの性格好きです!ツンデレっぽくてw 銀さんもかっこいい!更新頑張ってください(*´ω`*) (2015年1月14日 16時) (レス) id: 4b6f2064c5 (このIDを非表示/違反報告)
とまとん - 面白い (2015年1月13日 3時) (レス) id: 45219dddd0 (このIDを非表示/違反報告)
中村@57巻ショック(プロフ) - 皆様コメ感謝です!!私も銀さんは大好きなので書いていて楽しいのですが、銀さんの格好良さがかけているか、不安です(;・∀・) 出来る限り頑張らさせて頂きますので、よろしくお願い致します! (2015年1月11日 23時) (レス) id: 0d3c6b7cce (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時:2015年1月11日 9時