【銀魂】白夜叉さんの恋愛遍歴【坂田銀時】

十年の時 ページ23

「…昔は、なんか折れちまいそうだっただろ」


「…折れる？」


「なんつーかな…、…見ててやんねーと危ねェ感じがしたからな」


「…私戦場で超刀振り回してたけど」


「………ま、あの齢であんだけ持ちこたえてたのは評価してやるよ」
「何様？」




私の睨みに、そいつは「俺様」なんてお前は少女漫画のヒーローかと言いたくなってしまいそうな台詞を返し。




「…だが、それ以外は普通より少し弱い位ェだっただろ。精神面とかな」


「うるさい。…で、それが？」




「――たくましくなったじゃねーか」




――――たくまし、く。…そいつが笑いながら言った言葉は、静かに胸に沁みていき。




「……どういう意味よ」


「地に足がついてる感じがすんぞ、お前。危なげねーし」




十年は凄いな、と。…そりゃ、凄いでしょうよ、十年は。




「…子供同士だった私達を、大人に変えたくらいにはね」




――それぞれ違う人生、違う景色を辿った、十年。…爛れた関係だったあの頃を、過去へと変えたその時間。








「――それでもやっぱり二人で酒に溺れてんだから、ダメな大人になったもんだよ。私達」


「そりゃ道理だな」




――また二人、コップにつぎ足した酒を呷り。……十年前と今で、溺れる対象が相手から酒に変わっただけ。




「……ダメ大人、乾杯」

「上等だコラ」




…深夜のかぶき町の、とても綺麗だとは言えない居酒屋。私達はあぁだこうだ言いながら、酒を飲み続けていたのだった。

柄にもなく反省　sideA→←そこに拘るんじゃない

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