見覚えのある姿 sideA ページ3
「―――よォ親父、空いてっか」
――夜、繁華街に煌びやかな光が灯る中。
…ガラリと目の前の居酒屋の戸を開けた俺は、かぶき町のど真ん中でいつも通り飲み屋をハシゴしている最中であり。
「――見ねー顔だな、お客さん。ここは初めてかい?」
などと、居酒屋の店主らしき男からかかった声に、そういや見ねー店だな、と気づいた。
「…確かに初めてだな。おっさんアレ?新しく開いたの、店」
「おうよ、ちょいと前にな。だが味は保証するぜ、もう常連客がついてる位ェだからな」
カウンター席に座りながら話しかけると、気の良さそうなおっさんは俺という新規客にテンションが上がったのか座敷席の奥を顎で示し。
…そこに見えたのは、一人で焼酎を呷る黒髪の女。
「…女か、ありゃ」
「そーだぞ、兄ちゃんよりちょいと年下か?だがイイ女だぞー」
俺がもう何十歳か若かったら口説いてたな、と。いやお前どんだけ若くてもそんなイイ女とやらオトせるだけの容姿じゃねーだろ。
…まぁ、そんなツッコミは取り敢えず置いておき。
「…イイ女、ねェ…」
どうせなら拝顔してこようかね、と座敷へ目をやった、そのとき。
「――――――…、」
――女の顔が、見えた。欠伸混じりに首をぐるりと回しているその女の顔が。
…烏の濡れ羽色、と形容するのが相応しいだろう黒髪に白い肌、赤い唇。長いまつげで縁どられた両の目。――どこまでも見覚えのあるそれに、俺が感じたのは全身を電流が流れたかのような感覚で。
「……おっさん」
「あぁ?どうかしたかい?」
「…俺、席変えるわ」
――一も二もなく立ち上がった俺を、おっさんが不思議そうな顔で見つめていたのだった。
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ひえい - この作品特に好きです!もっとお話が読みたかった〜! (2016年10月16日 22時) (レス) id: 958d91a48d (このIDを非表示/違反報告)
梛柚圖畄 - こ、これは面白いぞ!!中村さんの作品大好きです!これからも応援してまっす (2015年1月16日 22時) (レス) id: f037178d24 (このIDを非表示/違反報告)
ごまぶちょー(プロフ) - 文才があるとはこのこと…夢主ちゃんの性格好きです!ツンデレっぽくてw 銀さんもかっこいい!更新頑張ってください(*´ω`*) (2015年1月14日 16時) (レス) id: 4b6f2064c5 (このIDを非表示/違反報告)
とまとん - 面白い (2015年1月13日 3時) (レス) id: 45219dddd0 (このIDを非表示/違反報告)
中村@57巻ショック(プロフ) - 皆様コメ感謝です!!私も銀さんは大好きなので書いていて楽しいのですが、銀さんの格好良さがかけているか、不安です(;・∀・) 出来る限り頑張らさせて頂きますので、よろしくお願い致します! (2015年1月11日 23時) (レス) id: 0d3c6b7cce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時:2015年1月11日 9時