【銀魂】白夜叉さんの恋愛遍歴【坂田銀時】

話を聞く気がない　sideB ページ11

「…何の用っつーかな…、…昨日逃げただろ完全に。そんでなんとなくだな、久しぶりだったし」



――なんて、白夜叉が言う。…なんとなくって、と苦笑が溢れた。


と、いうか。




「…逃げてない。アンタが勝手に勘違いしてんでしょ」


「いや完全に逃げてたなありゃ。…つーか、」




…どうやら私の話を聞く気は微塵もないらしいそいつは、ちらりと私を窺うようにして続ける。




「俺白夜叉じゃねーし今。万事屋だし」


「だからなによ、白夜叉」


「それやめろっつってんの」




…それ、とはつまり私の白夜叉呼びのことだろう。確かに戦争も終わったし、目の前のこいつだって今は白夜叉じゃなくニート侍のようだし、それは道理なんだろうけど…。




「…やだ」


「あァ!?」




…なんとなく、気に入らない。

しかし白夜叉はというと納得がいかない様子で。




「だってお前、前は俺のこと名前呼びしてたじゃねーか！」



……と。

…正直に言えば、呼んでいなかったわけではない。ただ呼んでいたというわけでもない。――つまり。



「……ことの最中だけでしょ」



…そういうことの最中は、私もそいつもお互いを名前で読んでいた。…けど。




「普段は白夜叉呼びだったし。アンタも私のこと名前なんかじゃ呼んでなかったでしょ」


「覚えてねーな」


「よく言う。今だって一回も名前呼んでないくせに」




昔から小娘小娘と言われていたものだ。名前なんて、それこそそういう時にしか呼ばれたことがない。

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