返答、なし ページ25
――――――
「――沖田、さーん」
――夕陽の射し込む、病室。朝病院に来て、眠ったままの沖田さんとふたりきりになってからは既に数時間が経過していた。
「・・・まだ、眠るんですか?」
・・・・小さく呼びかけた声に返事をしてくれる人は、いなくて。
(・・当たり前、かぁ・・・。)
目の前で目を瞑ったままの沖田さんは、この数時間微動だにしていない。あの悪戯っぽい眼差しを、見ることが出来ていない。
「・・そろそろ、目、覚ましてくださいよ」
もうちょっとで出てきそうなところまで上り詰めてきた涙をやっとの思いで飲み込みながら、沖田さんの頬に触れた。
ガーゼで覆われたその右頬からは、沖田さんの体温が感じられて。・・少しだけ、安心する。
「・・・・・包帯だらけになっちゃってるじゃないですか、沖田さん。」
ざらざらとしたガーゼの感触から手を離しつつ改めて見つめてみれば、やはり怪我だらけ、包帯だらけであり。
・・頭にも、腕にも、お腹にも、足にも。・・・・・怪我をしているのだと、聞いた。
「・・・怪我をするな、なんて言いませんけど」
・・そんなことを言い出したら、彼は彼の世界で生きていけなくなってしまうから。・・だけど。
「――心配くらい、させて欲しかったなぁ・・。」
沖田さんが私に気を遣ってくれていたのは、わかる。・・・・でも、彼女であるのだ、私は一応。
共に戦えはしなくとも、力になれるわけじゃなくとも。
違う世界から、遠い場所から。――祈ることくらい、させて欲しかった。
「・・・沖田さん、本当優しすぎますよ」
ため息混じりに呟いたそんな言葉も、やはり部屋の中に溶けて消えただけだったのだった。
飲み込んだ涙と飲み込めない涙→←住む世界が違うなりの出来ること
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ぽっぽ - えってぇてぇ、、、すごい胸に来るものがある (4月30日 22時) (レス) @page35 id: b2924b43fc (このIDを非表示/違反報告)
みずき - 文の構成力とか内容の面白さとか........本当に素晴らしいです!読み込めば読み込むほどその場の風景だったり、人物の感情だったり、様々なことを想像しながら読むことが出来ました!何度も読みたくなる素敵な作品ですね!! (2018年3月7日 0時) (レス) id: 5f5fd54baa (このIDを非表示/違反報告)
イミテンシヤ - もう!最高でした!純粋なお付き合いが美しい!!主人公ちゃんかわいい! (2018年2月18日 19時) (レス) id: 1ec0e336fd (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - 沖田さんかっこよすぎました。中村さんのさくひんだいすきですほんと!!これからも陰ながら応援させていただきますm(_ _)m (2017年10月13日 1時) (レス) id: 9b72875a2b (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち - 沖田〜カッコいいよーヤバいヤバいヤバい!!!!! (2017年10月12日 17時) (レス) id: 8322775854 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時:2015年1月6日 12時