不思議に ページ11
「――どーかしたか」
・・・と、私の言葉を受けて沖田さんはこちらを見上げる。それは沖田さんが長椅子に腰掛けてるからなんだけど、でもなんだか新鮮だなとやけに冷静に考えている自分がいた。
(・・・・・でも、それより。)
「――沖田、さん」
「何でィ」
・・私には、言わなきゃならないことがあるわけで。
「――なんで最近、沖田さんは私に触れないんですか?」
無意識で震える指先を押さえながら言った。
昼前のこの時間帯、どこか遠くの方からは子供たちの笑い声が聞こえてきていて、どうしようもなく平和だ。・・それだけに、この状況が余計に不思議に感じられる。
・・・・そして、肝心の沖田さんはというと。
「・・・・・、・・やっぱり気づいてたか」
「・・はい?」
気まずげな顔で、「悪りィ」なんて。――待って、ちょっと。
「ど、どういうこと、でしょうか?」
未だ沖田さんの言葉の意味を理解できていないまま発したそれに、その人は「格好がつかねェにも程がある話でィ」と。
(・・・・格好が、つかない・・?)
沖田さんのその様子にさっきまで感じていた不安だとかそういうのは取り敢えず去っていったけど・・、・・でも、それの意味だって私にはよくわからなくて。
「・・沖田さん、すみません。わからないです」
「・・・・・こういうときばっかり鈍くて困らァ。変なことにばっかり鋭いってのに」
「つ、つまり・・?」
「・・・・まァ、仕方ねェ。・・ただ、幻滅するぜィ」
話聞いたあと、てめーは、と。・・・幻滅、なんてそんなもの。
「・・・するわけないじゃないですか。・・私は沖田さんが心底好きなんですもん」
しっかりとその瞳を見つめつつ言った私に、沖田さんは「敵わねーな」と苦笑を零す。・・・つまり、それは。
「話して、くれるんですか?」
「・・・疚しいことじゃねーし、別に構わねーよ」
――沖田さんの不思議な行動の理由は漸くあらわになるらしく、私は安心から静かにため息を吐いたのだった。
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ぽっぽ - えってぇてぇ、、、すごい胸に来るものがある (4月30日 22時) (レス) @page35 id: b2924b43fc (このIDを非表示/違反報告)
みずき - 文の構成力とか内容の面白さとか........本当に素晴らしいです!読み込めば読み込むほどその場の風景だったり、人物の感情だったり、様々なことを想像しながら読むことが出来ました!何度も読みたくなる素敵な作品ですね!! (2018年3月7日 0時) (レス) id: 5f5fd54baa (このIDを非表示/違反報告)
イミテンシヤ - もう!最高でした!純粋なお付き合いが美しい!!主人公ちゃんかわいい! (2018年2月18日 19時) (レス) id: 1ec0e336fd (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - 沖田さんかっこよすぎました。中村さんのさくひんだいすきですほんと!!これからも陰ながら応援させていただきますm(_ _)m (2017年10月13日 1時) (レス) id: 9b72875a2b (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち - 沖田〜カッコいいよーヤバいヤバいヤバい!!!!! (2017年10月12日 17時) (レス) id: 8322775854 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時:2015年1月6日 12時