「赤点、とり続けます」 side銀八 ページ38
【銀八side】
「……先生、どうしたら一番になれますか?」
「んなもんならなくていいだろ」
補習中、熱を持った目でこちらを見つめる女子生徒。
……面倒なことになりそうだ、と嫌な予感を感じながら言葉を返す。…しかし。
「…じゃぁ例えば、先生、」
「あァ?…、――――――…っ!?」
女子生徒が、俺の唇に自身のそれを押し付けた。
「…お前、今何した」
「何って――――」
そいつは微かに微笑み。
「――――――キス、ですよ」
これでその子に勝てましたね、と。
「…いや、勝ててねーな」
「……え…?」
女子生徒がその余裕そうな顔を崩し、目を見開いた。
「だ、だってキスですよ?」
「そうだな。…だが」
――――アイツにゃ、及ばねーよ。
「……アイツ、ってその生徒ですか」
「そうだ」
アイツ―――Aは。
「とんでもなく手がかかる奴でな。何回か国語で一桁とりやがった。
あと私生活でもだ。意外にしっかりバイトしてるかと思ったら真夜中に夜道を一人で帰ろうとするしよ。何回補習したかも思い出せねェ」
「…その、生徒ともキスしたんですか」
「さぁな」
だが、と続けて。
「俺ァ余裕でキスしてくる女より、余裕“ぶって”キスしてくる女の方が好みだ」
そんでその後赤面して俺の胸板に顔を埋める、Aに惚れているのだ。
「……あたし、先生が好きです」
「はっきり言うと、無理だ」
「でも、私は諦めませんから。国語、赤点とり続けます」
それだけ言って、女子生徒は出て行ってしまう。
……はぁ、と一つため息をついた。
あそことは違うが、そういえばここも国語準備室であり。
――――そして。
“国語準備室”にはAの思い出が、沢山詰まっている。
(…Aに、会いてェ…)
あの女子生徒には悪いが、心の底からそう思った。
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中村@3年進級(プロフ) - 皆様ありがとうございます!お陰様で思い切り楽しんできました!続編もよろしくです(´∀`) (2014年4月20日 19時) (レス) id: 0d3c6b7cce (このIDを非表示/違反報告)
すぶた侍(プロフ) - 更新待ってました!おかえりなさい!! (2014年4月20日 14時) (レス) id: 65ae28275f (このIDを非表示/違反報告)
神 - 更新お疲れ様です^^ (2014年4月19日 23時) (レス) id: aa2f9bfef1 (このIDを非表示/違反報告)
スカッシュ(プロフ) - おかえりです!これからも更新ガンバです!楽しかったですか(●´ω`●)? (2014年4月19日 22時) (レス) id: 013a877985 (このIDを非表示/違反報告)
はる - おかえりなさい!無理せず更新してくださいね( ;´Д`) (2014年4月19日 22時) (レス) id: 3d9f9f6d09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時:2014年4月12日 21時