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冥「打ち止めはもう眠ってしまっているよ」



夜更けの静まった病院
デスクでカルテを眺めながら背後に立つ男に語りかける




一「あのガキの事じゃねェ」



お見舞いにしてはあまりにも的はずれな時間だ

窓からカラスの様に突然現れた一方通行は
そのまま部屋の中へと入ってきた




今更それに何かいう医者でも無い

カルテを机に置いて受け入れた




一「志生A、アイツがどっかの組織に狙われてる」

冥「夕方に二人組みが来たのは聞いているよ
職員には度が過ぎた見舞いと話をつけているが」

一「アイツは記憶がねェと言ってやがった
感情もまるでアナでも空いてるみてェに他人事だ」




感情も、感覚もあやふやで



挙句記憶すらも曖昧で

能力といい暗部の影といい


色んなものがあべこべの
風が吹けば飛んでいきそうな程彼女はおかしな存在だった




冥「ふむ…君はあの子のこと知らないと言っていたがもうそこまでたどり着いたんだねぇ?」

一「知らねェな、だが…どっかで見た
どこだかはわからねェ」




髪色は特に珍しくもない
だが、目だけ、あの目だけはやたらどっかに残っていた



能力が珍しいからか、それとも他に何かあるのかも彼にはわからない



わからないからこそ、こんなにもモヤモヤとするのだ



面倒事には関わらない主義なのに
気づけば思い出す毎日にいい加減ウンザリとしていた




そして現在、彼女が暗部に狙われている
その理由を知りたくて



Aが、一方通行を良い悪党と呼んだように

光の世界を生きる彼女を彼は巻き込みたくはなかった




冥「本来なら君はあの子に関わるべきじゃなかった
君は打ち止めを守るために暗部に落ちたんだよねぇ?
それなのにまた目的を増やすつもりなのかい?」

一「うるせェよ、俺はやりてェことをやるだけだ」

冥「そうだね君はそう言うタイプだったねぇ?」




頷いてゆっくりと瞬きをする医者は
どこか思い詰めたような顔をする


彼は、彼女のことを誰よりもよく知っていた



Aは長年、冥土帰しの患者であり
冥土帰しはあの日からずっと彼女を見守ってきたのだった

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弦一郎(プロフ) - りほさん» ありがとうございます^^原作が小説のものってなかなか難しいですが、楽しんでいただけたら幸いです。 (2019年8月25日 22時) (レス) id: eb78cccc43 (このIDを非表示/違反報告)
りほ(プロフ) - 相対性理論からきました!書き方が本当に好きですぅ…。 (2019年8月25日 21時) (レス) id: 020412926d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:弦一郎 | 作成日時:2019年8月25日 0時

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