第十一話 ページ13
中也さんと身体を重ね合わせるようになってからズルズルとこの関係を続けている。
初めは酔っ払った中也さんにキスをされた。最初は動揺が勝りその口付けに喜びはなかったのだが、徐々に唇を重ねていくうちに形容し難い感情が伴うようになった。
キス以上のことをしたのは先月のこと。多分、前の主の事を忘れられずに上の空の状態だったんだと今になって思う。
構成員になった当初から中也さんは私を傍に置いてくれていた。失敗は許されない環境で着々と任務は熟していたのだが、それでも私の隣にいた中也さんは酷く機嫌が悪かった。
「手前、あのクソ男のこと未だに引き摺ってんじゃねぇぞ」
在る日、資料を纏めていると中也さんが執務室にずかずかと入ってきた。
私はそんな心算はなかったので首を横に振ったが、中也さんは更に機嫌を悪くする。
それどころか外から人が入ってこないように執務室の扉の鍵を閉め、私は壁に追い詰められた。
その時の私は中也さんが恐ろしく思え、無意識に身体を震わせていた。
「ごめんなさい…私、主がいないと、不安になっちゃうのかも…」
「手前を買ったのは俺だ。俺を主だと思えば良いんじゃねェのか？」
「それは…っ」
違う、とは云えなかった。
中也さんは大金を積んで私を買ってくれた上に、衣食住、仕事まで用意してくれた。
命の恩人と言っても過言ではない。
それなのに、これ以上迷惑を掛けることは出来ない。でも、
「私の、本当の主にはなってくれないんですか」
「なに？」
「異能力も遣えない私なんてただの事務員と一緒……」
「手前、其れ本気で云ってんのか」
中也さんの声が一段と低くなる。
嗚呼、また怒らせてしまったと気付いた時にはもう遅かった。
「じゃあ前の主と同じことされたら満足すんのかよ」
「え…？」
シャツのボタンが外される。あ、この人に抱かれる。と一瞬にして察した。
在の日から数週間、中也さんは前のように機嫌を損ねることもなく私に接してくれる。
私はというと釈然としない気持ちだった。
結局中也さんは何に対して腹を立てているのかもわからなかったし、今更掘り返したところで、また中也さんの機嫌を悪くしたらたまったもんじゃない。
セ フレのようなものなのかなと自己完結させる日々。
正直この関係に名前が欲しいと思うようになってしまった。
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椛 - 時間があれば読み返しています！！とても魅力的な作品を読ませていただきました！！ (2022年3月23日 22時) (
レス) id: 9bee9bd17c (このIDを非表示/違反報告)
はるなか(プロフ) - 梨桜さん» ありがとうございます！格好良さを全面に出したかったので良かったです〜！新作も宜しくお願いします！ (2022年1月22日 13時) (レス) id: 379cc49933 (このIDを非表示/違反報告)
はるなか(プロフ) - 引きこもりちゃんさん» 更新の度コメントくださってありがとうございました！また機会があったら読み返してあげてください(〃'▽'〃) (2022年1月22日 13時) (レス) id: 379cc49933 (このIDを非表示/違反報告)
梨桜 - 完結おめでとうございます！最後までクッソ格好よかったですね…新作も楽しみにしています！！ (2022年1月22日 10時) (レス) @page50 id: 76e4dc31cc (このIDを非表示/違反報告)
引きこもりちゃん - 完結おめでとうございます!この話凄い好きです。お疲れ様でした。 (2022年1月22日 0時) (レス) @page50 id: 81a3cc2368 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はるなか | 作成日時：2021年11月26日 22時
