私たち結婚しました [JH]4

＊ ページ18

「あんたなんて嫌いだったのに…なんで…」

何で好きになったんだろう。

伝えられない想いが頭の中でこだまする。

言ってしまった言葉はもう戻せない。

だけどそれを否定する言葉も今の私は言えやしない。

嫌いって言葉に離れていこうとした悪魔が行ってしまわないように。

否定の言葉代わりに背中に回した腕に力を込めた。

悪魔の戸惑いが伝わってくるけどそんなの無視。

悪魔の気持ちはそっちのけで、

今はただそばにいて欲しかった。

悪魔がやっぱり似ていたから。

タイミングの良すぎるベルの音に焦ってドアを開けた時、

一瞬本当に会えたのかと思った。

何かの奇跡が起こったのかと。

「…何で、泣いてんだよ…」

顔を上げたら極限に困った顔がそこにいて。

ちょっと素直になっても良いかな、なんて。

「会いたいタイミングで…

あんたが来たから…」

ん？違うな。

これじゃ悪魔に会いたかったみたいだ。

待って。そうじゃない。

弁解しようと思ったのにもう遅くて。

「お前…俺の事好きなの…？

泣くほど？」

驚いてんのか嬉しいのかよく分かんない顔の悪魔が、

私の顔を覗き込んだ。

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