二百七十九話。 ページ30
爆豪side
昔。
これは俺が子供のころの話だ。
『あら、またこの子テレビに出てるわ。まったく…事情はあると言えどこんなに幼いころからテレビに出させて…見世物じゃないんだから。』
母親はそういってテレビを消した。
テレビに映った子供は毎度、必死になって助けを求めていた。
同じ年ぐらいで、笑って遊ぶのが年相応な子供は泣き叫んで大人に縋り付いた。大人は決まって痛ましそうにその子供の手を握って、こういうのだ。
『大丈夫。あなたのお父さんとお母さんがついているわ。』
子供はその親から懸命に逃げようとしているというのに。
大人は病気だと笑って、安心するように声をかける。
そのうちノートやメモ帳などのものがテレビに出るようになった。子供が勉強したものである。そして、反骨心で真似して書き写したら、浮かぶように暗号が分かった。
それがすべての始まりだろうか。
それから毎日確かめた。
毎日違う内容でわからないような暗号で隠して来た。その内容はいつだって助けを求めるもので。次第に世間はこいつを救えないのだと感じた。
だって、オールマイトでも助けられないんだから。
そいつを助けられればきっと、俺が一番のヒーローだという思いと。当時笑いかけるテレビ越しの笑顔に魅かれて。
俺はいつの間にか探すようになった。
テレビで死んだという報道がされても探し続けて、それでも見つからなくて諦めた。本当に死んでしまったのだろうかという思いがずっと奥底には眠っていたのだが、そのうちそれどころではなくなって。
生きていたとしても見つからないのは不可能だと割り切って、そのうちに忘れた。
それでもたびたび思い出していた。
泣き出しそうな顔と縋り付く声を。
叫びを。
思い出すたびに探して、何かの節目だとか、入学だとかのタイミングで探して、似た姿を見かけては目で追っていた。
そしてようやく見つけたそいつは助けを求めてはいなかった。
喜ぶべきなのかもしれない。
どうすればいいのかわからない、それが本音でもあった。
それでもできることならその道は歩んでほしく無くて、できるなら同じくヒーローになってほしくて。
声をかけた。
ただ、それだけだった。
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ミナミ(プロフ) - yuaさん» ありがとうございます！これからのシリーズもどうぞよろしくお願いいたします！！！ (2022年10月23日 16時) (
レス) id: 6614ae932f (このIDを非表示/違反報告)
yua - コメント失礼します! シリーズ全部読ませてもらいました! 全部面白くて、感動しながら読んでいます。 更新頑張ってください!! (2022年10月22日 15時) (レス) @page50 id: 658ebb7b55 (このIDを非表示/違反報告)
ミナミ(プロフ) - Reeさん» ありがとうございます！更新頻度も気まぐれだというのに多くの方々に読んでいただけてうれしいです！これからも応援よろしくお願いします！ (2022年10月18日 20時) (レス) id: dce04d5ff9 (このIDを非表示/違反報告)
Ree(プロフ) - はじめまして！いつも楽しく読ませて頂いてます！凄く面白いです。爆豪と相澤先生推しなので更に最高と思いながら♡これからの展開がとても楽しみです。陰ながら応援してます。 (2022年10月17日 19時) (レス) @page47 id: dbef1d39c6 (このIDを非表示/違反報告)
ミナミ(プロフ) - にゃんこうどんさん» ありがとうございます！！とても嬉しいです!爆豪くんもかっこいいですよね…人気投票１位なのもなっとくですしギャップ萌えやばいですよね！これからもこの作品をよろしくおねがいします！ (2022年9月19日 14時) (レス) id: 6614ae932f (このIDを非表示/違反報告)
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