二百七話。 ページ8
Aside
寮に戻る頃にはある程度暗くなっていた。
寮の前まで送ってもらい、相澤先生と別れ、中に入ろうとしたとき声が聞こえてきた。
ただの好奇心で、覗いてみた。
聞こえてきた声は梅雨ちゃんの声だった。私はそういえばあの日のことをそこまで詳しくは知らなかった。何故疑われたのかも実際のところは分かっていない。
まぁ、疑いは晴れた訳だし、気にする気もないのだけれど。
梅雨ちゃんは止められなかったことを気に病んでいるのだろうか。なんとなく言い過ぎたような気もしなくもない。
ただ、あのときは本当によく分からなかった。
どうしてあんなふうに感情的になってしまったのかはもう分かってしまった。感情的になる、と言うのがあんなことだとは私は分かっていなかった。
人生の中で、あれっきりだろう。
あんなふうに怒鳴ったのも、あんなふうに腹が立って、抑えきれなかったのも。
大抵の感情は自分の中で片付けている。
冷静に思考して解決策を出して、それで終わりだ。考えても分からないことは考えないようにする。尤も、私が持っている感情というのはそこまで多くなかった。
陽太に対する心配とヒーローに対するいら立ちやら怒りやら、そんな小さなものばかりで。
それ以外のものは持っていなかった。
前は、例えば陽太がまだいなかった頃やヒーローに希望を持っていた頃は違ったと思う。
理不尽に怒ったり、両親に許しを乞うていた。
与えられないものと分かれば考えなくなった。そういうものだと割り切ったから。
だから、梅雨ちゃんのように苦しみを人に吐露するのはしたことがなかった。
辞めてほしいというのも、なんだかんだいって私がやったこととはきっと然程違いがないんだろうけれど。感情は思考の中で完結させていた。
行動に移したのはたった一つ、譲れないものの為だけだった。
ヒーロー志望とは、やっぱりよくわからない生き物だとしか思えなかったのだ。
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猫(プロフ) - 凄く面白いです！！更新されるたびワクワクしていました(*´ ꒳ `*) (2022年1月23日 0時) (
レス) @page14 id: 159bb94574 (このIDを非表示/違反報告)
hgf、jhさいこうでs - 最高です‼️何回も読み直しています！続きが楽しみです。。。ああ、早く夢主ちゃんを救って欲しい。。。 (2022年1月21日 20時) (レス) @page13 id: 9afd2abc65 (このIDを非表示/違反報告)
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