二百八話。 ページ9
Aside
例えば、クズに対してクズだと思う。
敵に対して、そういう方法でやるよりももっと効率よく盗んだりする方法があるのにと思う。
そんな程度の思考だ。
あの子に対して敵であるか否かがその後の思考への入り口になる。
ただのモブであれば別に気にしない。敵連合に対して面倒なものならとりあえず寝てこちらにうまいこと勧誘して泥沼にハマらせればいい。
ただのモブでなく、あの子にも害をなさず、そしてなおかつ、私は関わっていなければならない彼らに対しては何をどうすればいいのだろう。
「あっ、Aちゃん！
どこ行ってたの？」
「あーね、先生に尋問されてたのー。
捕まった敵と面識あったから。」
黙っている方が返って面倒事を引き起こすと判断して喋ることにした。
そう言うと周りはギョッとしたが、私がここで話したことによってきっと、私が敵であるという思考はないのだろうな。
続きを促すように黙っていた。
「両親が死んだって話、してるよね？
オールマイトを、引退させたあの敵、アイツが私の両親を殺したの。
さっきはごめんね、そのせいもあって感情的になりすぎたよ。私はよく知ってたから。
どうやってあの敵が人を殺すのか。」
「…そう、だったの？」
お茶子ちゃんはたちまち泣きそうな顔になった。こちらに向かって腕を伸ばしてきて、抱きついてくる。
私も腕を回しながら、不自然に見えないように肩を震わせてそれっぽい演技をして、歯を食いしばっているように思われるように、そんな態度をして。そうしてごまかした。
あの両親が死んだ事実などで、今更泣きはしない。ただ、この少女、山岸Aにとっては入試前に親が死んだばかりだ。
ここで泣いていなければ、とりあえず変だろう。
そんな程度の思考だ。
「お母さんたち、は、私の目の前で死んだの。
よく覚えてる。
お願いだから、約束して。もうあんなことしないで。私の知らない場所で死ににいかないで。
私が知っていたら、近くにいたら、きっと助けられるから。」
「…ごめん、Aさん、」
「すまない、Aくん。」
「すまねぇ、」
「悪い。」
「…すみません、Aさん。」
そんなこと日を聞きながら、私は思考する。
こんな日々をもしかしたら普通に生きていたかもしれない自分のことを。
親が狂っていなければこの日々があったかもしれないのだと思うと、本当に少しだけ、ちょっとだけ、惜しまれた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 457人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
猫(プロフ) - 凄く面白いです！！更新されるたびワクワクしていました(*´ ꒳ `*) (2022年1月23日 0時) (
レス) @page14 id: 159bb94574 (このIDを非表示/違反報告)
hgf、jhさいこうでs - 最高です‼️何回も読み直しています！続きが楽しみです。。。ああ、早く夢主ちゃんを救って欲しい。。。 (2022年1月21日 20時) (レス) @page13 id: 9afd2abc65 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
