四十五話。 ページ48
Aside
それから一週間が経った。
私の日常は元に戻った。
柱の方々とお話をしたり、稽古をしたりして過ごしている。
変わったことと言えば、炭治郎さんたちが加わるようになったこと。
とてもいい方。
附子さんはいなくなっていた。
私がどうこう言えるものではない。
だから、何も言わないことにしている。柱の方々は最小限に附子さんの話を避けていたから。
だから、それに則る。
「…Aさん!
今日は合同で任務ですね!」
「そうですね、炭治郎さん。
よろしくお願いします。」
そう言った。
どうしても、この人に伝えないといけないことがある。大切なこと。
気付かせてくれたこと。
「…ありがとうございます、炭治郎さん。」
「…へ?
な、何がですか?」
「色々、ですかね。
多分、私は自分で自分の頸を絞めていたんです。
苦しみから逃れるために殺していた。
私はそれが相応で、当たり前だからと。
でも、あなたがあの日、私を逃がしてくださったから……私は、私も見失っていた物を見つけられました。
息苦しかったこと。
凄く、凄く、嫌だったこと。
悲しかったこと。
虚しかったこと。
大好き、だったこと。
大切な捨ててしまっていたものをあなたが与えてくれた日々が教えてくれました。」
歩く足はゆっくりで、それが心地いい。
前はこんなこと感じなかっただろう。絶対に。言い切れる。
炭治郎さんはずっと聞いてくださった。
「私は鬼です。
ずっと、その事を後悔して懺悔してただ、鬼を狩ることで誤魔化し生きてきました。
鬼である事実は揺るぎません。
でも、きっと私にも出来ることはあるんです。鬼としてでも出来ることは。
鬼としてでも価値があることを真菰さんたちが教えてくれました。
私は、それを模索します。
答えを探します。
あなたと出会えてよかった。
私は…私を許せます。
私自身に、生きることを。」
「…Aさん、よかったです。」
泣きそうな声でそう言われた。
実際、泣きかけているように見えた。伝えられてよかったと思った。
「…もう、生まれてきてすみませんなんて言いませんよ。
私は私をいつか、誇りに思いたいから。
鬼であっても、人を救えると証明しますから。」
終わり ログインすれば
この作者の新作が読める(完全無料)
←四十四話。
470人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アマリス(プロフ) - ハッピーエンドなんて認めない。柱なんて、私の書いた小説のようにバッドエンドになればいいんだよ! (2022年11月22日 12時) (レス) @page44 id: 7d0074fb6d (このIDを非表示/違反報告)
桜井直(なお)(プロフ) - めっちゃ面白かったです! (2022年9月15日 21時) (レス) id: ee464fdcd2 (このIDを非表示/違反報告)
桜井直(なお)(プロフ) - 悪女ーネタバレになるかもしれませんが自分は悪くないって言ってるけどどうみても100パーわるいでしょ (2022年9月15日 21時) (レス) @page48 id: ee464fdcd2 (このIDを非表示/違反報告)
暁月フウリ - こんにちは、初めまして!一気読みしてしまいました。すごく面白かったです!私、裏切りとか嫌われとか好きなんで、めっちゃ好みです。素晴らしい作品をありがとうございました! (2020年9月5日 22時) (レス) id: 4b7d7100c2 (このIDを非表示/違反報告)
ミナミ(プロフ) - 孤紅ちゃんさん» コメントありがとうございます!そうですね…やっぱり、ああいうタイプの人は変わらないと思っているので…これからもよろしくお願いします! (2020年7月18日 13時) (レス) id: 5a0bdf4eea (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ