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三十六話。 ページ39

炭治郎side

 

その瞬間、また匂いが変わった。

戸惑いの匂い。附子さんからは焦りのような匂い。焦ってる。

大丈夫だ。この調子ならきっと。

 
「私は一年前、上弦の弐と名乗った鬼から地の呼吸と呼ばれる技を使った方に助けられました。

ずっとその方を探して炭治郎さんたちと出会いました。」

 
「……上弦の弐!?
そんな鬼と戦っていたのなら怪我を多少なりとしていたはずだ。

あいつはしていなかった。
していたのは附子だった。それでは何の証拠にもならない。そもそも、その女も信用できるか分からないではないか。」

 
「まぁ、伊黒さん。
話を最後まで聞きましょう。」

 
縁さんは懐からきれいに折り畳まれた手拭いを取り出した。

藍色で微かにくすんでいた。古いものなのだろう。大切にされていたんだ。

 
「これはその時貸していただいたものです。
その方は長い髪でそちらの附子と呼ばれている方ではありませんでした。

確固たる証拠はありませんが……。」

 
「…いや、信じましょう。
縁さん、と言いましたね。この手ぬぐいは私があの子に渡したものなのです。

血のにじむ箇所があるでしょう。

あの子を見つけたときにこれで手当てをしたんですよ。あの子は律儀にこれをとっていましたから……。」

 
「…では!お館様!附子が嘘をついていると言うのですか!?」

 
「先程からこの記録を見せてもらったけれど、この殆どは莉々菜の仕事だったはずだ。

この字は確かにAの字だ。

そしてその手ぬぐいと証言。
莉々菜には証拠と呼べるものは確かなかったはずだよね?

この時点で私は莉々菜を信じられないよ。」

 
手ぬぐいについている血はとても古くて目を凝らさなければ気づかないだろう。

でも、触れれば微かに違和感がある。
固まってしまっているんだ。

俺はあっさりしていて驚いた。お館様はもしかして本当はAさんがやっていないと思いたかったんじゃないか?

でも、Aさんは何も言わなかった。

Aさんは確かに半分鬼だし、Aさん自身も分かっていなかった。
自分を蔑んでいたから、自分のせいと思い込んでいたんだ。

 
悲しい匂いがした。

信じてやれなかったという後悔の匂い。Aさんのことを皆さんは好きだったんだ。

だから、そんなことをやったと思って信じたくても信じきれなくて好きだからこそ、ああなってしまったんだ。

 
その時鴉が叫んだ。

 
「カァー!!
鬼ニ遭遇シタ隊員ガ全滅!応援要請!!」

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アマリス(プロフ) - ハッピーエンドなんて認めない。柱なんて、私の書いた小説のようにバッドエンドになればいいんだよ! (2022年11月22日 12時) (レス) @page44 id: 7d0074fb6d (このIDを非表示/違反報告)
桜井直(なお)(プロフ) - めっちゃ面白かったです! (2022年9月15日 21時) (レス) id: ee464fdcd2 (このIDを非表示/違反報告)
桜井直(なお)(プロフ) - 悪女ーネタバレになるかもしれませんが自分は悪くないって言ってるけどどうみても100パーわるいでしょ (2022年9月15日 21時) (レス) @page48 id: ee464fdcd2 (このIDを非表示/違反報告)
暁月フウリ - こんにちは、初めまして!一気読みしてしまいました。すごく面白かったです!私、裏切りとか嫌われとか好きなんで、めっちゃ好みです。素晴らしい作品をありがとうございました! (2020年9月5日 22時) (レス) id: 4b7d7100c2 (このIDを非表示/違反報告)
ミナミ(プロフ) - 孤紅ちゃんさん» コメントありがとうございます!そうですね…やっぱり、ああいうタイプの人は変わらないと思っているので…これからもよろしくお願いします! (2020年7月18日 13時) (レス) id: 5a0bdf4eea (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ミナミ | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年6月7日 23時

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